【レポート】“東京発”ショーケースの手応えと、SXSWから世界へつながる音楽の力@SXSW2025報告会

こんにちは!SXSW Japanの高橋です。


3月に開催されたSXSW2025には、日本から約800名の皆様にご参加いただきました。SXSW Japanでは4月に国内での報告会イベントを、東京・京都・名古屋の3都市で開催。実際にSXSW2025に参加された方に、それぞれの体験や学びをシェアしていただくパネルセッションを企画しました。

本記事では音楽ショーケースの仕掛け人の皆さんよるパネルセッションの様子をレポートします。

SXSW Japan / Researcher
高橋功樹

パネルセッション③“東京発”ショーケースの手応えと、SXSWから世界へつながる音楽の力

 

2025年のSXSWでは、日本の音楽ショーケースが過去最大級の存在感を放ちました

 
報告会の最後を締めくくったパネルセッション③では、3つのショーケースを手がけたキープレイヤーが登壇。SXSW Musicの舞台裏、アーティストの反応、そして来年に向けた展望を語りました。

 

 


登壇者

  • 菅原 隆文氏(LD&K / Tokyo Calling)
  • 山崎 和人 氏(HIP LAND MUSIC/Inspired by Tokyo)
  • 野田 威一郎 氏(TuneCore Japan)
  • モデレーター:宮川麻衣子(SXSW Japan)

 

3つのショーケースが集結、今や“JAPAN MUSIC”はSXSWの名物に

 

SXSW2025では、日本から21組のアーティストが出演。公式ラインナップの中でも、Tokyo Calling、Inspired by Tokyo、そしてTuneCore Japanオーディション経由で選ばれたアーティストたちが音楽ショーケースを展開し、音楽関係者や現地ファンから大きな注目を集めました。

 

中でも目を引いたのが、屋外・屋内の両ステージを持つ「Mohawk」での開催。東京のカルチャーを多面的に見せる場として、回遊性の高いショーケース構成が功を奏しました。

 


 

Tokyo Calling:ライブハウス文化をそのままオースティンへ

 

Tokyo Calling」は、国内最大級のライブサーキットイベント。そのSXSW版として、菅原氏は「日本のライブカルチャーをそのまま持ち込む」ことをコンセプトに運営を行ったと語ります。

 

出演は、打首獄門同好会、眉村ちあき、東京初期衝動、Enfants
中でも、眉村ちあき、東京初期衝動は昨年に続いての出演で、現地からの注目度も急上昇。アンオフィシャルのものを含めると4ステージ以上にブッキングされるなど、SXSWでの連続出演が世界への足がかりになっていることがうかがえます。

 

「SXSWって、“1回出て終わり”じゃないんです。出続けることで、会場や業界関係者に認識されて、世界が動き出す」(菅原氏)

 


 

Inspired by Tokyo:インディーの多様性を“東京ブランド”で表現

 

山崎氏が手がけた「Inspired by Tokyo」は、HIP LAND MUSICを中心に、Spincoaster、オーチャード、TuneCore Japanとの合同企画。インディー系のアーティストを東京というフィルターで束ね、“今の東京の音楽カルチャー”を伝えることに注力しました。

 

「日本の音楽ってジャンルも音も本当に多様。1社じゃ伝えきれないから、みんなで組んでやる意味がある」(山崎氏)

 

CEIPAの支援、トヨタグループのプロジェクトとの連携もあり、PRや運営面の強化にも成功。延べ来場者数は1,000人規模にのぼり、会場は常に満席状態。SXSWミュージック部門のトップ、James Minorも「今年の日本ショーケースはベストだった」とコメントを寄せたそうです。

 


 

TuneCore Japan:オーディション制度で“次の才能”を発掘

 

TuneCore Japanの野田氏は、SXSWと連携した公式オーディションの設計・運営を初めて担当。

 

「応募数が昨年よりも格段に増えました。SXSWを“現実的な目標”として捉えてもらえるようになった実感があります」

 

その中には、「SXSWに出るのが夢だった」というアーティストや、「初の海外ライブだった」という新人も多く、単に舞台を提供するだけでなく、カルチャーとしてSXSWを“目指す文化”をつくることに挑戦した格好です。

 

「SXSWは、単に音楽を届ける場ではなく、“アーティストが成長する場所”。現地の反応、トラブル対応、国境を越えた交流——すべてが糧になります」(野田氏)

 


 

SXSWは「1回出て終わり」じゃない。続けることで世界が動き出す

 

パネルでは繰り返し、「SXSWに出ることは“ゴール”ではなく“起点”」という考えが共有されました。実際、複数年連続で出演したアーティストには、海外ツアーや欧米フェスからの声がかかるケースも。

 
また、現地マネージャーやブッキングエージェントからその場で名刺交換を求められるなど、「ライブの熱がそのまま“次”に繋がる」のがSXSWの醍醐味です。

 


 

2026年に向けて:ジャパンハウス構想と、日本カルチャーの“ひとまとめ戦略”

 

最後に語られたのは、「2026年に向けた構想」。
登壇者たちは口をそろえて、「点でなく面で、ジャパンブランドを見せるべき」と強調しました。

 

「日本の音楽は多様性も歴史もある。SXSWという場を、文化の発信拠点として使っていくことが重要」(山崎氏)

 

「台湾やイギリスは、国を挙げて音楽文化をブーストしています。日本ももっとできるはず」(菅原氏)

 

「SXSWは音楽だけでなく、テックもフィルムもある。“昼はセッション、夜はショーケース”という形で、日本全体の存在感を出していきたい」(宮川氏)

 

今後の鍵となるのは、企業・行政・音楽業界の三位一体の動き
SXSWを単なる音楽イベントとして捉えるのではなく、日本全体の文化発信のハブと位置付けて、“ジャパンハウス構想”を実現する動きが水面下で始まっています。

 


 

SXSWは「出るだけ」じゃない。音楽を軸に、世界とつながるストーリーをつくる場

 

今回のMusicパネルは、まさに“挑戦の共有”と“これからの宣言”に満ちたセッションでした。

 

SXSWは「誰でも世界とつながるチャンスがある場所」。
しかしそれは、行けば自然につながるものではなく、戦略と準備と、仲間の支えがあってこそ実現するものです。

 

アーティスト、プロモーター、運営チーム、そしてオーディエンス。それぞれの立場から、SXSWという舞台を最大限に活かす術を見つけた3者の言葉は、来年に向けての強いメッセージとなりました。

 


 

🎵 2026年、SXSWのステージに立つのは、あなたかもしれません。
 

SXSW2026への出演アーティスト公募は夏頃から開始予定です。最新情報はSXSW Japan 公式ブログ・SNS・ニュースレターでお届けします。


SXSWは、言葉では表現しきれないほどの情熱とエネルギーに満ちた場所です。
ビジネスパーソン、アーティスト、その他どんな人にとっても宝の山のような場所です。
ここでの経験とつながりが、あなたの人生に新たな飛躍をもたらすでしょう。
SXSWでの体験は、一生忘れられないものになります。
創造性と夢を共有し、未来を共に作り上げましょう。

ぜひ、SXSWに足を運び、その素晴らしい世界を体験してみてください。
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