こんにちは、SXSW Japanの宮川です。未来を見通すFuturist(未来予報®︎の専門家)として、私は常に新しい技術やアイデアの可能性に目を向けています。SXSWについては13年続けて参加しており、独自のレポートを毎年書いています。
2025年10月16日、SXSW Japan / VISIONGRAPH Inc. 主催で「SXSW 2026 オンライン説明会シリーズ」の第2回目が開催されました。テーマは「SXSWをどう活かすか ─ 初参加のためのケーススタディ」。
今回は、SXSWに参加すると実際にどんな成果が得られるのかを、企業・スタートアップ・地域・クリエイターなど、さまざまな視点から紹介しました。
イベントを通じて「SXSWを自分ごととして捉える」ヒントが詰まった1時間を振り返ります。

Director of SXSW Japan
Futurist / SXSW Official Speaker
宮川麻衣子
1. SXSWで世界は動き出す
SXSWは世界の変化が同時多発的に立ち上がる現場
SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は、“情報を得るイベント”ではありません。
それは、世界の変化が同時多発的に立ち上がる現場であり、テクノロジー・カルチャー・社会の未来が、オースティンという都市全体を使って試されるフェスティバルです。
今年、SXSWは40周年という大きな節目を迎えます。
AI、ヘルスケア、サステナビリティ、クリエイターエコノミーなど──
世界を動かすキーワードが、産業や国境を越えて一つの街に集結します。
この日、オンラインで行われた第2回説明会のテーマは
「SXSWをどう活かすか ─ 初参加のためのケーススタディ」。
これまでSXSWに参加してきた企業、スタートアップ、自治体、そしてクリエイターたちの実例を通して、
「SXSWで何が得られるのか?」を具体的に描き出す1時間となりました。
単なる海外出張ではなく、“自分の未来を拡張する体験”としてSXSWをどう使うか。
今回のセッションでは、その答えを一人ひとりが思い描けるよう設計されています。
2. SXSW2026の全体像
冒頭、高橋からはSXSWの全体像と、2026年に向けた新しい構成について説明がありました。
SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は、1987年にテキサス州オースティンで音楽フェスとして始まり、
いまや世界最大級のクリエイティブ・コンベンションへと発展しました。
音楽・映画・テクノロジーの3領域が交差し、街全体がステージになる──
それがSXSWの最大の特徴です。
近年ではAIやサステナビリティ、モビリティ、カルチャーといった多様なテーマが領域を越えてつながるようになり、まさに「都市全体が動くフェス」となっています。
2026年はSXSWが40周年を迎える特別な年。
その節目に合わせて、これまでの「インタラクティブ」「フィルム」「ミュージック」という分類から、
新たに次の3構成に再編されます。
- Innovation(イノベーション) – AI、宇宙、ヘルスケア、教育、社会課題など
- Film & TV(映像・ストーリーテリング) – コンテンツ産業・ストリーミング・ドキュメンタリーなど
- Music(音楽・ライブカルチャー) – グローバルなアーティスト・ミュージックテック・フェスティバル体験

これにより、テーマの重なりを意識したセッション設計が進み、より横断的なディスカッションが生まれやすい構造に進化します。
また、SXSWの中心地となるオースティン・コンベンションセンターは、2025年夏から大規模な建て替え工事に入っており、2026年はその間、「街のあらゆる会場」がより分散的に活用される予定です。
オースティン市中心部のクラブハウス、劇場、ホテル、パブリックスペースなどが、すべてフェスの一部となり、まさに「都市を使った実験場」になるとのこと。
3. ケーススタディ:4つの成果パターン
続いて高橋からは、これまでの日本人参加者の実例をもとに、SXSWをどのように活かせるのかが紹介されました。
紹介されたのは、企業展示型・スタートアップ型・自治体/地域型・クリエイター型の4つの代表的な成果パターンです。
ここでは、過去の日本人参加者を紹介します。
① 企業視察型:海外トレンドを戦略に生かす

SXSWでは、大手企業の新規事業・マーケティング部門を中心に、現地視察を通じて海外のトレンドを吸収する動きが広がっています。
特に2025年はTBSやCasioなどが参加し、「次の社会課題とテクノロジーの接点」を現場で探る試みが印象的でした。
TBSは自社コンテンツであり、グローバルに展開しているSASUKEや、遅延のないライブマルチスタジオなどを展示しました。Casioは新規プロダクト開発に向けて、SXSWにおけるクリエイター経済の潮流を分析しました。
SXSWは未来の展示会というより、未来の使い方を学ぶ場です。どんな会社も、答えではなく問いを持ち帰ることができます。
② スタートアップ型:SXSW出展から国際評価へ

SXSWは、世界中のスタートアップが投資家や企業と出会う場所でもあります。
日本からは毎年、東大発プログラム「Todai to Texas」のチームがピッチに挑戦し、医療機器開発チーム「MyEndoscope」が注目を集めました。
現地では、アメリカやヨーロッパの投資家が実際にブースを訪れ、資金調達や共同研究の話が進むことも少なくありません。
SXSWを通じて、「日本発の技術がどんな文脈で世界に届くのか」を実地で学ぶことができます。
③ 自治体・地域型:文化を世界へ発信する
京都府や愛知県による出展、文化庁視察団など、自治体・地域組織によるSXSW参加も年々増えています。


SXSWでは、行政や企業、アーティストが同じ空間で議論できるため、「地域×文化×テクノロジー」を横断した新しい発信が可能になります。
こうした動きは、単なる観光PRではなく、地域のアイデンティティを再構築し、グローバルな視野でのプレゼンテーションを実践する機会にもなっています。
④ クリエイター型:表現の場としてのSXSW
音楽・映像・アートの分野でも、日本からの挑戦が続いています。
関西発バンド「おとぼけビ〜バ〜」はSXSW出演をきっかけに世界的フェスへ出演し、SNSを中心にグローバルなファンを獲得。
また、AI音楽・メディアアート・デジタルパフォーマンスなど、新しいジャンルの日本人クリエイターもSXSWで存在感を高めています。
SXSWは、作品を発表するだけでなく、「なぜそれを作るのか」を語る場所でもあります。その思想やストーリーが共感を呼び、次のチャンスにつながるのです。
SXSWは、“表現が世界共通語になる場所”です。
4. SXSWの共通する価値とは
SXSWの魅力を一言で表すなら──
それは「誰にとっても、必ず“何か”が動き出す場所」です。
私、宮川は、過去13年間の現地経験を踏まえながら、SXSWがもたらす変化をこう語りました。
「SXSWは、未来を見る場所ではなく、自分の中の未来が動き出す場所です。」
視野が広がる。仲間ができる。行動が変わる。
SXSWを訪れると、普段の職場や国では出会えない人たちと、同じテーマで語り合う瞬間が訪れます。
それは、ただ名刺を交換する関係ではなく、
「好奇心を共有する仲間」が生まれる時間です。
セッションで隣に座ったスタートアップ創業者と半年後にコラボしたり、バーで偶然隣り合った海外のアーティストと新企画が立ち上がったり──
そんな偶然が、SXSWでは毎年のように起こります。
「SXSWはネットワーキングイベントではなく、発酵装置のような場所。情報や思想、人のエネルギーが混ざり合い、思いもよらない化学反応が生まれる場所です。」
情報ではなく、温度を持ち帰る
SXSWのセッションや展示を体験すると、多くの人が同じ言葉を口にします。
「刺激的だった」──でも、その中身は人によってまったく違います。
なぜならSXSWの価値は、データや数字ではなく、「現場で感じる温度」にあるからです。
自分と違う考え方に出会い、新しい概念に驚き、「自分は何を信じて仕事をしているのか?」を見つめ直す。
それがSXSWの本質的な成果です。
「SXSWで変わるのは世界ではなく、自分が世界を見る解像度なんです。」
誰にとっても成果がある場所
SXSWの参加者は、企業の経営層から学生クリエイターまでさまざま。けれど、誰もがそれぞれの形で成果を持ち帰ります。
- 企業の人にとっては、「次の戦略の種」。
- スタートアップにとっては、「世界で戦う比較軸」。
- 自治体にとっては、「地域を再定義する視点」。
- クリエイターにとっては、「自分の物語を取り戻す時間」。
そして、共通するのはこの一言。
「SXSWに行くと、自分のOSが書き換わる。」
偶発的な出会い、体験の熱、世界の広がり。
それらが混ざり合い、行動が変わり、結果的に人生や組織の方向までも動かしていく。
5. 日本人参加者向けサポート体制
SXSWはグローバルな舞台ですが、日本から参加する人にとっては「言語の壁」「手続きの煩雑さ」「現地での孤独感」がハードルになることも少なくありません。説明会では、こうした不安を解消するための 日本人向けサポート体制 が紹介されました。
まず、バッジ購入は従来のドル建て決済だけでなく、日本円での請求書払いにも対応。企業や大学の経理処理もスムーズに行えるようになり、参加を決めやすくなっています。
さらに、近畿日本ツーリストによる 公式ツアー では、航空券・ホテルの手配に加え、添乗員同行や現地日本語サポートが用意されており、初めてでも安心して参加できる仕組みが整っています。
情報面では、SXSW Japanが発行する SXSWを日本語で解説するレポート や事前のオンライン勉強会で最新トレンドをキャッチアップできるほか、出発前に東京で開かれる対面のミートアップ や、現地での 交流会 も好評。すでにSXSWに参加したことのある先輩参加者や企業とつながれることで、不安が期待に変わります。
また、LINEオープンチャット(約400人規模) では、参加者同士がリアルタイムに情報を共有。「おすすめのセッションは?」「街中での移動はどうすればいい?」といった素朴な疑問にもすぐ答えが返ってくるため、現地で孤立することがありません。
こうした仕組みによって、初参加者でも「一人で挑む孤独な渡航」ではなく、日本人コミュニティに支えられながらSXSWを体験できる のが大きな魅力です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. SXSW 2026はいつ開催されますか?
A. EDUは2026年3月9日〜12日、本体イベントは3月12日〜18日の7日間です。
Q2. 初めての参加でも大丈夫ですか?
A. 日本円でのバッジ購入、公式ツアー、現地日本語サポートがあるため安心です。初参加者は毎年全体の半数以上を占めています。
Q3. バッジはどれを選ぶべきですか?
A. 初参加や幅広く体験したい方にはプラチナバッジがおすすめ。特に2026年はセカンダリアクセスが廃止されるため、他領域も見たい方はプラチナ一択です。
Q4. 航空券はどうすれば安く取れますか?
A. ZIPAIRがSXSW Japanのオフィシャルパートナーとしてサポートを行っており、期間限定の割引やピッチ登壇者向けの支援もあります。
その他の質問はこちらをご覧ください。
次回11/20(木)オンライン説明会#3のご案内
日時:2025年11月20日(木)18:00–19:00
テーマ:「SXSWの歩き方 ─ 世界最大のフェスを読み解く」
内容:SXSW2026がどのような構成で、どのような人たちがセッションを行うか説明します。
👉 最新情報は SXSW Japanのニュースレター で随時更新しています。
SXSW 2026は40周年を迎え、未来のトレンドを先取りする特別な年となります。最先端のテーマを世界中の参加者と議論できる唯一無二の舞台がオースティンに広がります。
初めてでも安心して参加できるサポート体制が整った今、SXSWは日本人にとってもますます身近な挑戦の場になっています。
来年3月、あなたもオースティンで「未来を体験」してみませんか?
説明会#2のアーカイブ動画はこちら
SXSWは、言葉では表現しきれないほどの情熱とエネルギーに満ちた場所です。
ビジネスパーソン、アーティスト、その他どんな人にとっても宝の山のような場所です。
ここでの経験とつながりが、あなたの人生に新たな飛躍をもたらすでしょう。
SXSWでの体験は、一生忘れられないものになります。
創造性と夢を共有し、未来を共に作り上げましょう。
ぜひ、SXSWに足を運び、その素晴らしい世界を体験してみてください。
あなたの想像を超えた感動が、きっと待っています。
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