【レポート】“飛ぶ愛知”の技術と思想、SXSWで証明したローカルの可能性 / SXSW2025報告会@名古屋

こんにちは!SXSW Japanの高橋です。


3月に開催されたSXSW2025には、日本から約800名の皆様にご参加いただきました。SXSW Japanでは4月に国内での報告会イベントを、東京・京都・名古屋の3都市で開催。実際にSXSW2025に参加された方に、それぞれの体験や学びをシェアしていただくパネルセッションを企画しました。

本記事では4月9日に開催された名古屋での報告会の様子をレポートします。

SXSW Japan / Researcher
高橋功樹

2025年4月9日、愛知県のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」にて開催されたSXSW2025報告会@名古屋。そのトップバッターとなるパネルセッションでは、愛知を代表する先進企業2社が登壇し、SXSWという国際舞台で得た手応えと、そこから見えてきた“次の一手”について語りました。

 
登壇したのは、株式会社Prodroneの戸谷さん、Tetra Tokyo株式会社の市川さん。両者に共通していたのは、「SXSWでしか出会えなかった人やチャンスがあった」と語る強い実感です。 
 


登壇者:

  • 株式会社Prodrone /  戸谷さん
  • Tetra Tokyo株式会社 / 市川さん
  • モデレーター SXSW Japan 宮川

 

SXSWは「イベント」ではない、「フェス」だ──誰もが“当事者”になる場所

 

「SXSWって、イベントじゃないんですよ。フェスなんです」

Prodroneの戸谷さんが語ったこの一言に、この場にいた多くの参加者が深くうなずきました。

 

「イベントって、主催者がいて、出展者がいて、来場者がいる。でもSXSWは違う。主催者はいても目立たないし、誰かが“客”という立場でいるわけでもない。全員が“参加者”なんです

 

たとえば町のお祭りのような地元のフェスを想像してみてください、と戸谷さんは続けます。

 

「あの雰囲気なんです。みんなが関わっていて、責任もあるし、楽しみ方も自由。SXSWにも、あの“自分がこの空間の一部なんだ”という感覚がありました」

 

SXSWでは「展示する」「登壇する」だけが参加ではありません。歩くこと、話すこと、飲むこと、驚くこと、すべてが“参加”として成立する。来場者が“客”ではなく“共演者”になるこの空気感が、他のカンファレンスや展示会とは決定的に違う点です。

 

戸谷さん自身も「SXSWで人生が変わった」と明言するほどの衝撃を受け、こう締めくくりました。

 

「自分が何者であっても、SXSWに行った瞬間から、その“舞台”に立たされる。それがこのフェスのすごさです」

 

この感覚を一度でも味わえば、きっと来年も“参加者”としてSXSWに戻ってきたくなる──そう思わせる言葉でした。

 


 

“飛ぶ愛知”の存在感を見せたProdroneの挑戦

 

Prodroneの戸谷さんがSXSWで打ち出したのは、まさに“愛知らしさの塊”ともいえる展示でした。

 

同社が手がけるのは、災害対応や防衛領域で活躍するハイブリッド型ドローン。空から水中へスムーズに移行し、着水後に潜航する「潜れるドローン」や、時速140kmで飛行しながら映像と音声を伝える「災害初動対応機」など、どれも実用レベルで動作するものばかりです。

 

プレゼンでは『愛知は250年前からロボティクスの起源「からくり人形」を作っている』という歴史観を交ぜながら、ものづくり大国・愛知の技術的背景、トヨタをはじめとする先端企業群、名古屋大学の研究力、そして県をあげたスタートアップ支援体制までを一気に紹介。

 

SXSWという国際舞台だからこそ、「愛知のエコシステム」をダイナミックに語れるチャンスがあったと話されていました。

 


 

“オースティンで見つけた” 市川さんのプロダクトの原点

 

Tetra Tokyoの市川さんにとって、SXSWはただの展示イベントではありません。そもそもこのスタートアップが生まれるきっかけになったのが、SXSWだったのです。

 

2022年、初めてSXSWに赴き、アイデアをメンターにぶつけたことから始まったプロダクト開発。そこから補助金の採択、製品化、チーム形成と進み、今年は正式にブース出展までこぎつけたという流れ。

 

展示では、AIとコミュニティを掛け合わせたコピー生成ツールを紹介し、UCバークレーの学生インターンと、テキサス大学オースティン校の学生の協力も得ながら、現地での体験を「想像以上の手応えだった」と振り返ります。

 

特に印象的だったのは、ローカルのPR会社や学生との“現地協業”にチャレンジしたこと。「やっぱりアメリカの人には、アメリカの人が説明する方が伝わる」という気づきは、SXSWだからこそ得られた生きた学びでした。

 


 

“日本で会えなかった人に、オースティンで会えた”という奇跡

 

お二人とも、SXSWで得た最も大きな収穫のひとつとして語っていたのが、人との出会いです。

 

戸谷さんは、「日本でなかなか会えないようなメディア関係者や経済団体の人と、オースティンで偶然つながることができた」と話します。また、「本物のカウボーイに会った」と冗談交じりに語りつつ、SXSWが持つ“多様性の交差点”の力を実感していました。

 

日本からSXSWには今年約800人が参加。その中には行政関係者、ベンチャーキャピタル、大手企業の新規事業担当など、国内では会いにくい人材が“ふらっと”現地にいるのが特徴です。

 


 

来年は「飛ばす」「登壇する」そして「仕掛ける」

 

最後に語られたのは、「来年はこうしたい」という未来への宣言。

 

戸谷さんは、SXSWの空に自社のドローンを実際に飛ばしたいと語り、「空飛ぶインパクト」を実体験として見せることの重要性に触れました。

 

市川さんは、「ピッチに出たい」「ゲリラマーケティングをもっと仕掛けたい」と、SXSWというフィールドの柔軟性を活かした攻めの展開に意欲を見せます。

 

現地の空気を知ったからこそ、「次はもっと面白いことができる」という確信が生まれているのが伝わってきました。

 


 

SXSWは、行かないとわからない“人生の交差点”

 

SXSWは、単なる展示会でも、技術見本市でもありません。音楽、映画、スタートアップ、都市文化……あらゆる分野が混ざり合い、人と人が偶然に交わる“都市まるごとフェスティバル”です。

 

今回の名古屋パネルでは、「SXSWに行ったからこそ生まれた出会いや発想があった」という言葉が何度も飛び出しました。そしてその出会いは、次の事業や、国を越えた連携へと繋がっていく可能性を秘めています。

 


 

SXSW2026に向けて、今から準備を。

 

SXSWに出展したい、参加してみたい、何か一緒に仕掛けたい。
そんな方は、ぜひ来年に向けて今から動き出してみてください。

愛知県や京都府といった自治体では、それぞれのサポート体制を整えながら、日本からの挑戦を後押ししています。

 

名古屋から、そして東海から、SXSWという世界の交差点へ。
あなたのプロジェクトも、そこで「はじまる」かもしれません。

 


 

📌 SXSWへの参加や展示に興味がある方は、SXSW Japan Officeまでお気軽にご相談ください。

 

あなたのアイデアや技術が、世界の誰かの未来につながるかもしれません。