SXSW JAPAN REPORT|AUSTIN × CITY
SXSW 2025を見てきた4人が京都で話し始めると、話題はセッションや展示から、次第にAustinという街へ移っていきました。ライブがある店、イベントに参加する人、10年前とは違って見えた都市。SXSWを見に行ったはずなのに、その下にある「普段のAustin」が見えてきたのです。
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この記事は、2025年4月8日に開催した「SXSW 2025報告会@京都」のパネルセッションをもとに再編集しています。
登壇したのは、FM802の中川さん、Tomorrow Never Knowsの井口さん、阪急阪神不動産の中野さん、オリックス不動産の岡村さん。メディア、スタートアップ、不動産・都市開発という異なる立場からSXSW 2025を訪れた4人が、Austinで何を見ていたのかを振り返ります。
SXSWの期間中、Austinの街を歩くと、どこまでが「会場」なのかわからなくなってきます。
Austin Convention Centerやホテルではカンファレンスや企業イベントが進み、ライブハウスやバーでは音楽が鳴っています。
普段は別の用途で使われている店舗や屋外スペースも、その数日間はイベントの場所になります。
街の中を移動しながら次のセッションへ向かっている途中で、予定していなかったライブや展示、ブランドイベントに出会うこともあります。
京都で4人の話を聞いていると、そんなSXSWの景色を説明するために、次第にイベントそのものではなくAustinの話が増えていきました。
2011年から見てきた人には、Austinが違う街に見えた
Tomorrow Never Knowsの井口さんは、2011年からSXSWへ参加しています。
2025年に久しぶりにAustinを訪れて感じたのは、SXSWのプログラムの変化だけではありませんでした。
「10年前とはまるで別の街になっていた」
— Tomorrow Never Knows 井口さん
Austinにはこの十数年で多くのテクノロジー企業やスタートアップ、人材が集まり、都市そのものも大きく変化してきました。
SXSWの側も、音楽を中心に始まったイベントから、映画、テクノロジー、スタートアップ、ブランド、社会や文化についての議論まで、扱う領域を広げてきました。
井口さんの時間軸で見ると、「同じイベントを同じ街で開催し続けている」というより、街もイベントも変わり続けていることが見えてきます。
AUSTIN OVER TIME
同じSXSWへ戻ってきたつもりでも、
10年以上たつと、その舞台になっている街の方が変わっていた。
不動産の人たちが見ていたのは、フェスではない日のAustinだった
阪急阪神不動産の中野さんと、オリックス不動産の岡村さんは、都市や場所をつくる側の視点からSXSWを見ていました。
2人の話で印象的だったのは、大規模な会場や特別な建築物よりも、Austinの日常への関心です。
カフェやバーにライブステージがある。
普段から音楽を演奏する場所があり、そこへ人が集まる。
SXSWが始まったから、突然そういう場所が街に現れるわけではありません。
普段から営業している店やライブハウス、そこで活動している人たちがいて、SXSWの期間にはその既存の場所や活動が大きなイベントの一部としても動き始めます。
都市開発に関わる2人がAustinで見ていたのは、華やかな開催期間だけではなく、その期間を受け止めている日常の街でした。
一つの巨大な会場ではなく、いつもの場所が次々と会場になる
SXSWには中心となる施設がありますが、そこで一日が完結するわけではありません。
ホテル、ライブハウス、バー、レストラン、劇場、店舗、屋外スペース。
参加者は一日の間に何度も街を移動します。
その途中で、公式プログラムとは別の企業イベントを見つけたり、ライブの音が聞こえてきたり、知っている人と偶然会ったりする。
報告会でAustinについて話していた4人の視点を重ねると、SXSWは「街を巨大なイベント会場へ作り変えている」というより、街にすでにある大小の場所へ、その期間だけ別の使われ方が重なっているようにも見えてきます。
会場から会場へ移動する時間まで含めて、参加体験になっているのです。
ACROSS THE CITY
セッションとセッションの間にもAustinがある。
移動している時間まで、SXSWの体験から切り離せない。
街にいるのは、「主催者」と「観客」だけではなかった
京都報告会では、SXSWに関わっている人の多さも話題になりました。
公式運営のスタッフや参加者だけではありません。
ボランティアとして運営を支える人がいる。
店を開ける人がいる。
ライブをする人がいる。
場所を貸す人がいる。
企業が独自のイベントを開く。
そして、その間を参加者が歩いていきます。
街の中には、イベントを「見る人」以外にも、期間中のAustinを少しずつつくっている人たちがいました。
大きなフェスティバルでありながら、一つの運営主体だけがすべてを用意しているようには見えない。その感覚も、登壇者がAustinで拾ってきたものの一つでした。
FM802の中川さんは、「大阪とAustinは似ている」と言われた
ここで、京都から少し西へ話が移ります。
FM802の中川さんはSXSWの現場で、「大阪とAustinは似ている」と言われた経験を紹介しました。
そのときに挙げられていたのは、食、音楽、カルチャー、人との距離感といった要素です。
Austinと大阪は、街の規模も歴史も産業構造も違います。
それでも現地の人が別の都市に自分たちとの共通点を感じたことは、京都でこの報告会をしていた4人にとって面白い材料になりました。
では、京都はどうなのか。
長く続いてきた文化、大学や研究機関、スタートアップ、観光客、住民。大阪とはまた違う要素が近い距離に存在しています。
Austinを歩いてきた人たちが京都へ戻ってくると、話は「SXSWのようなイベントを関西でも」という単純な方向ではなく、それぞれの都市がすでに持っているものへ向かっていきました。
京都で話していたのに、最後は「関西」という単位になった
報告会の後半では、大阪や京都を個別に見るだけでなく、もう少し広い単位の話も出てきました。
都市単体ではなく、「関西全体」としての存在感をどう高めていくか。
— 京都報告会で登壇者の間から出てきた問い
大阪には音楽や食、都市的なカルチャーがある。
京都には歴史、文化、大学、研究、スタートアップがある。
そのほかの関西の都市にも、それぞれ違う産業や文化があります。
Austinという一つの都市を見て帰ってきたあとに、逆に自分たちの地域を一都市だけで考えなくなっていたことは、京都報告会の面白い展開でした。
BACK IN KYOTO
Austinを見て帰ってきたら、
大阪、京都、そして「関西」の見え方まで少し変わっていた。
SXSWについて話していたはずが、Austinについて話していた
京都での報告会を振り返ると、不思議なのは、SXSWの報告会なのに街の話がかなり多かったことです。
10年前と違って見えたAustin。
普段から音楽があるカフェやバー。
期間中だけ別の使われ方をする街の場所。
イベントを支える人や店。
そしてAustinから戻ったあとに、改めて見えてきた大阪や京都。
SXSWを現地で見ることは、プログラムやトレンドを持ち帰ることだけではありません。
イベントが長く続いてきた場所を歩くことで、「このイベントは、なぜこの街ではこういう形になったのだろう」という問いが残ることがあります。
2025年4月の京都では、その問いからAustinを見直し、さらに自分たちが暮らす都市へ視線が戻ってきていました。



