【レポート】SXSWが映し出す都市と文化の可能性、そして“大阪・京都から世界へ”の布石 / SXSW2025報告会@京都

こんにちは!SXSW Japanの高橋です。


3月に開催されたSXSW2025には、日本から約800名の皆様にご参加いただきました。SXSW Japanでは4月に国内での報告会イベントを、東京・京都・名古屋の3都市で開催。実際にSXSW2025に参加された方に、それぞれの体験や学びをシェアしていただくパネルセッションを企画しました。

本記事では4月8日に開催された京都での報告会の様子をレポートします。

SXSW Japan / Researcher
高橋功樹

SXSW2025報告会@京都のパネルセッション②では、京都・大阪を拠点に活動するメディア・不動産・スタートアップ関係者が登壇し、SXSWを通じて得た都市と文化、ビジネスの“リアルなヒント”が語られました。

 
登壇したのは、FM802の中川さん、Tomorrow Never Knowsの井口さん、阪急阪神不動産の中野さん、オリックス不動産の岡村さんの4名。いずれも関西からSXSWに参加し、現地で肌で感じたことをそれぞれの視点で共有しました。

 


登壇者

  • FM802 / 中川さん
  • Tomorrow Never Knows / 井口さん
  • 阪急阪神不動産 / 中野さん
  • オリックス不動産 / 岡村さん
  • モデレーター SXSW Japan 宮川

 

SXSWが都市に与えるインパクトとは?

 

まず印象的だったのは、SXSWの会場となるテキサス州オースティンの“都市そのものの変化”についての話です。

 

2011年からSXSWに参加している井口さんは、「10年前とはまるで別の街になっていた」と語ります。今やオースティンは、GoogleやFacebook(Meta)、Apple、SpaceXといった大手テック企業の拠点が集まる新たなイノベーション都市へと急成長しています。

 

それに伴い、SXSWというイベントも単なる音楽フェスやカンファレンスではなく、「都市の成長と共に育ってきた文化的エンジン」として確立した存在になっているとのこと。これは、まさに都市とイベントの共進化の好例です。

 

この流れを踏まえ、登壇者たちの間では「関西にもSXSW的な動きが必要なのではないか?」という話が自然と広がりました。

 


 

大阪×京都が持つポテンシャルは、SXSWでこそ際立つ

 

FM802の中川さんは、「SXSWの現場で、大阪とオースティンは似ていると言われた」と話します。

 

食、音楽、カルチャー、そして“人のあたたかさ”。大阪とオースティンには、開放的で人懐っこい気質や、文化の厚みと自由さといった共通点があります。それは、SXSWのような多様性と即興性に富んだイベントと親和性が高いということでもあります。

 

一方で、京都は世界に知られる伝統と革新の街。SXSWという国際的な舞台に立つことで、京都が持つ静かな文化力が一層際立ち、「あのブースに人が集まっていた」と複数の来場者が語るなど、注目度も抜群だったそうです。

 

都市単体ではなく、「関西全体」としての存在感をどう高めていくか。これはSXSW参加後に登壇者が共通して抱いた、大きな問いでもありました。

 


 

SXSWで気づいた「市民参加」と「カルチャーの作り方」

 

オリックス不動産の岡村さんと阪急阪神不動産の中野さんは、都市開発と文化創造の観点からSXSWを視察しました。

 

特に印象的だったのは、市民参加型のカルチャーが自然に根づいているということ。オースティンのカフェやバーには、常設のライブステージがあり、街のあちこちから音楽が流れています。SXSW開催中はもちろん、イベントがない時期でもカルチャーが息づいているのです。

 

その背景には、2000人を超えるボランティアの存在や、「イベントは市民と一緒に作るもの」という意識の広がりがありました。この「まちごとフェス」的なアプローチに、日本の都市開発との大きな違いと学びを感じたといいます。

 


 

SXSWの“熱狂”は、なぜ生まれるのか?

 

井口さんは、SXSWの魅力について「言語化するのが難しいが、一度行くと虜になる」と語ります。

 

「ライブミュージックのキャピタル(首都)」という自負があるオースティンには、音楽、テクノロジー、映画、アート、すべてが混ざり合いながら人と人が交わる、“場の力”が宿っています。

 

その場に立って、話して、笑って、音に揺れて、自分のプロダクトを語る。それだけで“何かが生まれてしまう空気感”がある。
そしてそれが、SXSWでしか得られない最大の価値なのかもしれません。

 


 

SXSWから関西へ。つながりを活かした次の動きへ

 

最後に登壇者が口々に語ったのは、「SXSWに一度行った人同士のつながりを、関西に持ち帰って活かしたい」ということでした。

 

SXSWに参加する日本人同士が、情報をシェアし、現地での動きを補完し合う“ゆるやかなコミュニティ”を作ること。それが今後、SXSWを起点とした関西発の動きや、さらなる都市連携の鍵になるといいます。

 

例えば京都と大阪が連携し、「SXSW JAPAN HOUSE」のような場を共創できれば、テックもカルチャーも食も一緒に発信できる、ユニークな関西発の拠点になるかもしれません。

 


 

関西発、SXSW的ムーブメントを

 

SXSWは、単なる展示やイベント参加にとどまらず、「自分たちの地域や文化を、世界とどうつなげるか?」という問いを与えてくれる場です。

 

今回のパネルセッション②では、「オースティンから学び、関西でどう展開するか」というリアルな議論が交わされ、SXSWを“自分ごと”として捉える姿勢が印象的でした。

 

SXSW2026に向けて、関西の動きは確実に始まっています。
次にそのステージに立つのは、この記事を読んでいるあなたかもしれません。

 


 

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