こんにちは、SXSW Japanの宮川です。未来を見通すFuturist(未来予報®︎の専門家)として、私は常に新しい技術やアイデアの可能性に目を向けています。SXSWについては13年続けて参加しており、独自のレポートを毎年書いています。
先日、2026年6月に初開催される「SXSW London」に関するオンライン説明会を開催しました。 今回はゲストに、ロンドン在住経験があり現地のカルチャーに精通している磯崎智恵美さん(BASSDRUM)をお迎えし、「なぜ今、ロンドンなのか?」「SXSW Londonで何が体験できるのか?」を深掘りしました。
オースティンとはまた違う、ロンドンならではの「美しい衝突(Beautiful Collision)」と、そこから生まれるイノベーションの可能性について、当日の熱量そのままにお伝えします。

Director of SXSW Japan
Futurist / SXSW Official Speaker
宮川麻衣子
1. SXSW Londonの全体像:オースティンとの違い
「美しい衝突」が生まれる場所
SXSW London 2026は、2026年6月1日〜6日の6日間、イースト・ロンドンのショーディッチ(Shoreditch)地区で開催されます。 テーマは「Beautiful Collision(美しい衝突)」。 異なるバックグラウンドを持つ人々やアイデアが出会い、ぶつかり合うことで、予想もつかない化学反応を起こす──それがSXSW Londonの狙いです。
オースティン vs ロンドン

SXSWオースティンが「テック×音楽×映画」の巨大なフェスティバルであり、アメリカンドリームやスタートアップの熱気を感じる場所だとすれば、ロンドンは「ポスト・シリコンバレー」的なイノベーションを探求する場と言えます。
| 特徴 | SXSW Austin (3月) | SXSW London (6月) |
|---|---|---|
| 規模 | 圧倒的な量と熱狂 (30万人規模) | 凝縮された質の高い対話 (2万人規模) |
| 文化 | テキサスの自由とカオス | 欧州の歴史と移民文化の融合 |
| 産業 | テック、ビジネス、エンタメの融合 | アート、ファッション、社会的責任、ディープテック |
| 体験 | 街全体がお祭り騒ぎ | 徒歩圏内でじっくり巡る「発酵」の場 |
・参加者数:25,327人
・スピーカー数:862人
・参加国数:85カ国
・映画/TV作品数:114本
ロンドンは、テックだけでなく、アートや社会課題解決(Social Responsibility)の文脈が強く、より深い対話や内省的な気づきが得られるのが特徴です。
2. SXSW London 2026開催概要+スピーカー第1弾発表
SXSW London は 音楽・映画・テクノロジー・カルチャー・ビジネス を融合させたクロスセクター型フェス。テクノロジーとクリエイティブ産業の「欧州拠点」となるSXSWのロンドン版、2025年に続く第2回開催。領域横断的な知と創造の交差点として、世界中のクリエイター・思想家・事業者が集まります。
基本開催概要
SXSW London 2026(サウス・バイ・サウスウエスト・ロンドン 2026)
開催期間:2026年6月1日(月)〜6日(土)
開催地:ロンドン東部・ショーディッチ周辺の複数会場(Christ Church、Truman Brewery ほか音楽会場などキャンパス型で展開)
プログラム構成
SXSW London 2026 も、オースティン本体と同様に「Conference(カンファレンス)」「Music(音楽)」「Screen(映像/スクリーン)」の3つを軸に構成されます。
🗣️ Conference:
AI、フロンティアテクノロジー、XR・メタバース、シティ・フューチャー(London 2050)など、テクノロジーと社会・ビジネス・カルチャーの交差点を扱うセッション。
15のトラック(例:AI and The New Human Experience、Frontier Technologies、Unreal Realities、Society Rewired、London 2050 など)が設定され、多様なテーマでパネルやトークが行われる予定。
🎵 Music:
世界各国の新しいアーティストやシーン、特にダイアスポラやアンダーグラウンドから生まれるカルチャーとテクノロジーの交差にフォーカス。
ショーディッチ周辺のライブハウスやクラブを使ったショーケースが中心。
🎞️ Screen:
映画・ドラマ・シリーズなどの上映に加え、欧州色の強い作品やロンドンならではの映像表現を紹介するプログラムを予定。
スピーカー第1弾発表!

・Ben Cohen(Ben & Jerry’s共同創業者、活動家)
・Ioannis Alexandros Antonoglou(Co-Founder & CTO, Reflection AI)
・Victor Riparbelli(CEO & Co-Founder, Synthesia)
・Tom Cwik / Thomas Cwik(Chief Technologist, NASA Jet Propulsion Laboratory)
・Cristina Diezhandino(CMO, Diageo)
・Jamie Laing(Founder, Candy Kittens, JamPot Productions & Tuckshop)
・Joleen Liang(CEO, Squirrel AI Learning North America)
・Sir Martin Sorrell(Founder & Executive Chairman, S4 Capital)
・Hovhannes Avoyan(Founder & CEO, Picsart)
・Dr. Stephanie Kuku(Chief Knowledge Officer, Conceivable Life Sciences)
・Gloria Mark(Chancellor’s Professor of Informatics, University of California Irvine)
・Sviat Dulianinov(CEO, Bright Machines)
これらはAI、テック、ビジネス、ヘルステック、デザインなどの15トラック(AI and The New Human Experience、Frontier Technologiesなど)に沿った顔ぶれです。
3. ゲストトーク:課題をクリエイティブに解決する都市
本イベントのハイライトは、ゲストの磯崎智恵美さん(BASSDRUM / テクニカルディレクター)による「ロンドンの都市カルチャー」解説でした。 磯崎さんはロンドンに7年間在住し、現地のデザインや音楽シーンを肌で感じてきた方です。彼女の話から見えてきたのは、「行政任せにせず、クリエイティブな発想で社会課題を解決する」ロンドンの姿でした。
① Grassroots Music Venues:文化を守るエコシステム

ロンドンでは、ジェントリフィケーション(地域の高級化)によって小さなライブハウスが次々と姿を消す危機に瀕していました。そこで生まれたのが「チケット1枚につき1ポンドを寄付する」という仕組みです。 ColdplayやHarry Stylesといったスタジアム級のアーティストがこれに賛同し、自分たちを育ててくれた「草の根(グラスルーツ)の会場」を守るために資金を還流させる。「文化はただ消費するものではなく、みんなで育て、守るものだ」という意思が、システムとして実装されています。
② Night Economy & Agent of Change


ロンドンは「24時間眠らない都市」を目指し、地下鉄の24時間運行(Night Tube)や、夜間の経済活動を活性化させる政策(Night Czar)を推進しています。 また、「Agent of Change(変化のエージェント)」という原則もユニークです。これは、新しくマンションを建てる開発業者が、既存のライブハウスの騒音対策費用を負担するというもの。
「後から来た人が、その場の文化に敬意を払い、共存のコストを負う」。このルールがあるからこそ、新旧の文化が衝突せず、共存できるのです。
③ メンタルヘルス × 床屋

アートや文化を守るという文脈だけでなく、市民の心を守る活動もあります。それが、「Lions Barber Collective」。 イギリスでは青年・壮年男性の自殺が社会問題になっていますが、彼らが唯一、心を許して話せて継続して通う場所として「床屋」があります。理髪師たちがメンタルヘルスのトレーニングを受け、髪を切りながら客の相談に乗るという活動です。「床屋が命を救う場所になる」。これもまた、既存のリソースを捉え直し、クリエイティブに課題を解決するロンドンらしいアプローチです。
4. SXSW Japanによるオフィシャルツアーの全貌:スタジオ訪問と没入体験
今回SXSW Japanでは、私と磯崎さんがコーディネーターを務める「SXSW LONDON OFFICIAL TOUR by SXSW Japan」を企画しました。 単にイベントに参加するだけでなく、ロンドンのクリエイティブの「源泉」に触れるための特別なプログラムを用意しています。ツアーにはSXSW Londonへの参加(Festval Pass)と、2社のスタジオ訪問が含まれます。

ツアー日程(5泊7日)
日程:2026年5月31日(日)〜6月6日(土)
プログラム概要:
●DAY 1 (5/31):羽田発ロンドン着(NH211)、専用車でホテルへ、ウェルカムディナー
●DAY 2-3 (6/1-2):SXSW London視察(公共交通利用)、夜は任意参加のパブでの振り返り会
●DAY 4 (6/3) スタジオ訪問デー:
午前:Heatherwick Studio 訪問(専用車)
午後:市内レストランでランチ後、Pentagram 新オフィス訪問
●DAY 5 (6/4) 文化施設&次世代ライブ体験:
午前:SXSW London / 自由視察
午後:V&A East Storehouse 視察(専用車)
夜:ABBA Voyage 鑑賞
●DAY 6 (6/5):ラップアップセッション、ホテルチェックアウト、空港へ(専用車)、帰国便へ
●DAY 7 (6/6):羽田着
ツアーだけの特別体験:
- Heatherwick Studio(ヘザウィック・スタジオ)訪問
麻布台ヒルズの建築デザインでも知られるトーマス・ヘザウィック氏のスタジオへ。「Making House」と呼ばれるその場所で、アイデアが形になる試行錯誤のプロセスを目撃します。 - Pentagram(ペンタグラム)新オフィス訪問
世界的なデザインコンサルティングファームの新拠点を訪問。コロナ禍を経て変化した、彼らの新しい働き方や空間設計を見学します。 - ABBA Voyage 鑑賞
「脳がバグる」と噂の没入型コンサート。70年代のABBAが最新テクノロジーで蘇るのですが、磯崎さん曰く「テクノロジーの凄さ以上に、クリエイティブの執念に圧倒される」とのこと。これは必見です。 - V&A East Storehouse
ヴィクトリア&アルバート博物館の新しい収蔵庫。展示される前の作品が眠る「舞台裏」を覗き見ることができる、貴重な体験です。
「SXSWに行くと、自分のOSが書き換わる」といつもお伝えしていますが、このロンドンツアーは、まさにその感覚を共有し、参加者同士で語り合う濃密な5日間になるはずです。
ぜひこの貴重な機会にご参加ください。
5. SXSWの共通する価値とは
私、宮川がSXSWの魅力を一言で表すなら、
それは「誰にとっても、必ず何かが動き出す場所」です。
「SXSWは、未来を見る場所ではなく、自分の中の未来が動き出す場所です。」
視野が広がる。仲間ができる。行動が変わる。
SXSWを訪れると、普段の職場や国では出会えない人たちと、同じテーマで語り合う瞬間が訪れます。
それは、ただ名刺を交換する関係ではなく、
「好奇心を共有する仲間」が生まれる時間です。
セッションで隣に座ったスタートアップ創業者と半年後にコラボしたり、バーで偶然隣り合った海外のアーティストと新企画が立ち上がったり──
そんな偶然が、SXSWでは毎年のように起こります。
「SXSWはネットワーキングイベントではなく、発酵装置のような場所。情報や思想、人のエネルギーが混ざり合い、思いもよらない化学反応が生まれる場所です。」
自分と違う考え方に出会い、新しい概念に驚き、「自分は何を信じて仕事をしているのか?」を見つめ直す。それがSXSWの本質的な成果です。
そして、共通するのはこの一言。
「SXSWに行くと、自分のOSが書き換わる。」
偶発的な出会い、体験の熱、世界の広がり。
それらが混ざり合い、行動が変わり、結果的に人生や組織の方向までも動かしていく場所なのです。
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SXSWは、言葉では表現しきれないほどの情熱とエネルギーに満ちた場所です。
ビジネスパーソン、アーティスト、その他どんな人にとっても宝の山のような場所です。
ここでの経験とつながりが、あなたの人生に新たな飛躍をもたらすでしょう。
SXSWでの体験は、一生忘れられないものになります。
創造性と夢を共有し、未来を共に作り上げましょう。
ぜひ、SXSWに足を運び、その素晴らしい世界を体験してみてください。
あなたの想像を超えた感動が、きっと待っています。
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