SXSW JAPAN GUIDE|HOW PEOPLE USE SXSW
同じSXSWへ行っても、見ているものは人によってかなり違います。新しい事業の手がかりを探す企業もいれば、プロダクトを海外へ持ち出すスタートアップ、地域を紹介する自治体、ライブをするアーティストもいます。これまでの日本からの参加事例を、4つの景色から振り返ります。
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この記事は、2025年10月16日に開催した「SXSW 2026 オンライン説明会 #2 ── SXSWをどう活かすか、初参加のためのケーススタディ」をもとに再編集しています。
説明会では、企業、スタートアップ、自治体・地域、クリエイターという異なる参加者の事例を紹介しました。今回は2026年当時の開催案内やバッジ情報を外し、それぞれがAustinで何をしていたのかに絞って残しています。
SXSWについて説明していると、よく「結局、何をしに行くイベントなんですか?」と聞かれます。
その答えが一つにまとまりにくいのが、SXSWの少し変わったところです。
Conferenceを聞く人がいます。
Expoへ出展する人がいます。
Pitchに挑戦するスタートアップがいます。
Music Festivalでライブをするアーティストもいます。
同じ一週間を過ごしていても、持ち帰るものはかなり違います。
これまで日本から参加した人たちを見ても、SXSWの使い方はいくつもありました。
FOUR DIFFERENT USES
企業
普段とは違う市場や人の中に、自社のテーマやプロトタイプを置いてみる。
スタートアップ
日本で作ってきたプロダクトを海外へ持ち出し、別の文脈から反応を受ける。
自治体・地域
地域にある文化や産業を、海外の人へどう見せるか試してみる。
クリエイター
作品やライブを、初めて出会う観客や業界関係者の前へ持っていく。
企業|自社のプロダクトを、普段とは違う人の前へ置いてみる

企業からSXSWへ来る人には、新規事業、研究開発、マーケティング、経営企画など、いろいろな担当者がいます。
ConferenceやExpoを視察して次のテーマを探す人もいれば、自社で開発しているものを実際に展示する企業もあります。
2025年には、TBSテレビやカシオ計算機がAustinで展示を行いました。
TBSは『SASUKE』のVR体験やアニメ作品のAR、映像制作技術などを展示。
カシオは開発中の電子楽器やアプリを持ち込み、参加者が実際に触れる環境をつくりました。
面白いのは、日本で想定していた使われ方と、Austinで起きる反応が必ずしも同じではないところです。
カシオのブースでは、その場で楽器を演奏する人が現れ、その姿を見てまた別の人が集まりました。
展示している側も、そこで初めて気づく使われ方があります。
COMPANY|PUT IT IN ANOTHER CONTEXT
自社の中で見ていたものを、
普段なら会わない人たちの前へ置いてみる。
視察だけで参加した場合にも、似たことが起きます。
自社では一つの業界課題として考えていたテーマが、AustinではFilmやMusic、都市、教育など、思っていなかった方向から語られている。
その違いを持ち帰ることが、次の企画を考える材料になるケースもあります。
スタートアップ|日本で作ったプロダクトを、世界の人に説明してみる

日本のスタートアップも、これまでSXSW PitchやExpoへ挑戦してきました。
東京大学を起点とするTodai To Texasでは、長年にわたり学生やスタートアップをAustinへ送り出しています。
2025年には、ポータブルな内視鏡トレーニングシステムを開発するMyEndoscopeがSXSW PitchのStudent Startups部門ファイナリストに選ばれました。
Pitchへ進むと、自分たちのプロダクトを数分間で海外の審査員へ説明することになります。
日本では共有されていた医療制度や教育環境の前提も、海外の相手には一から説明することがあります。
逆に、自分たちが強みだと思っていたところとは別の部分に質問が集まることもあります。
MyEndoscopeのメンバーも、メンタリングを受けながらPitchの構成を何度も作り直していました。
STARTUP|EXPLAIN IT AGAIN
海外へ持っていくと、
プロダクトそのものと同時に、説明の仕方も試される。
そこから投資や商談につながる場合もあります。
何も決まらず帰国する場合もあります。
それでも、違う市場の人に説明したときに返ってきた質問は、その後の事業を考える材料として残ります。
地域|「京都」「愛知」を、海外ではどう語る?


企業やスタートアップとは少し違う目的で、自治体や地域の団体もSXSWへ参加しています。
これまで京都府や愛知県などが、現地視察や出展、スタートアップ支援などを通じてSXSWと関わってきました。
地域を海外へ紹介するとき、「観光地として何が有名か」だけでは伝えきれないものがあります。
どんな企業が生まれているのか。
どんなクリエイターがいるのか。
歴史や文化が、今の産業とどうつながっているのか。
Austinで海外の人と話すために整理していくと、地域の特徴を日本国内とは少し違う角度から見ることになります。
PLACE|TELL THE PLACE AGAIN
自分たちには当たり前だった地域の特徴を、
初めて聞く人に向けてもう一度言葉にしてみる。
地域のスタートアップと一緒に参加すれば、「京都」や「愛知」という名前と、その土地から生まれている新しい事業が同時に見えてきます。
文化、産業、スタートアップを別々に紹介するのか、一つの地域の景色として見せるのか。
SXSWへの参加は、そんな地域の見せ方を考える機会にもなっています。
クリエイター|知らない観客の前で作品を出してみる
SXSWにはMusic、Film & TV、Artなど、作品そのものを持って参加する人たちもいます。
日本からも長年、多くのアーティストや映像制作者がAustinへ渡ってきました。
Music Festivalでは、小さなライブハウスのステージに立ったアーティストを、その場にいた海外の音楽関係者が初めて見ることがあります。
反応が良ければ、別のShowcaseへ呼ばれる。
翌年またAustinへ戻り、以前会った人と再会する。
そこから別の国のライブやFestivalにつながる場合もあります。
日本のバンド、おとぼけビ〜バ〜もSXSWへの出演を重ね、その後活動の場を海外へ広げていきました。
CREATOR|MEET A NEW AUDIENCE
作品を、まだ自分を知らない人の前へ出す。
そこで初めて返ってくる反応がある。
日本で評価されていることと、Austinで反応されることが同じとは限りません。
言葉が通じなくてもライブで反応が返ってくることもあれば、日本ではあまり説明してこなかった背景やストーリーを聞かれることもあります。
作品を海外へ持っていくと、観客が変わるだけでなく、自分たち自身の作品の見え方まで少し変わることがあります。
同じAustinでも、4者が持ち帰ったものは違う
企業、スタートアップ、地域、クリエイター。
こうして並べてみると、同じSXSWという場所を使っていても、現地で起きていることはかなり違います。
WHAT CAME BACK FROM AUSTIN
企業
プロトタイプへの予想外の反応や、自社のテーマを違う業界から見る視点。
スタートアップ
海外の人へ説明したときに返ってきた質問と、自分たちの事業の新しい見え方。
地域
土地の文化や産業を、国外の人へどう語るかという新しい言葉。
クリエイター
まだ自分を知らない観客の反応と、次につながる人との出会い。
どれがSXSWの「正しい使い方」というわけでもありません。
同じ人でも、最初の年はConferenceを歩き、翌年は出展し、その次には登壇することもあります。
参加する立場が変わると、同じ街でも見えるものが変わります。
最初の参加では、目的も途中で変わることがある
初めてSXSWへ行くとき、現地で何が起こるかをすべて予想するのは難しいです。
AIのセッションを見に行ったのに、帰国後に一番残っていたのがMusic Showcaseだった。
Startupを探しに行ったのに、街中のBrand Activationから新しいアイデアを持ち帰った。
展示のために参加したのに、隣のブースの人との会話がその後につながった。
そんな予定外の変化も、SXSWではよく起こります。
だから最初に目的を持っていくことと、現地で興味が動いたら予定を変えることは、両方あっていいのだと思います。
SXSW JAPAN NOTE
「何をしに行くか」は人によって違う。
そして、現地へ行ってから変わることもある。
2025年10月の説明会では、「SXSWをどう活かすか」というテーマでこの4つのケースを紹介しました。
改めて並べてみると、「活かし方」という一つの方法があるというより、参加する人が持っている仕事や作品、問いによって、SXSWの使われ方そのものが変わっていることがわかります。
企業の人がクリエイターの動きからヒントを得ることもあります。
自治体がスタートアップの見せ方を参考にすることもあります。
一つの参加事例だけを見るより、違う立場の人が同じ場所をどう使ったのかを横に並べてみると、SXSWというイベントの輪郭も少し見えやすくなります。



