学生がSXSWに参加すると何が見えてくる?|3人の若手挑戦者とZIPAIRの支援

SXSW JAPAN CASE STUDY|STUDENTS IN AUSTIN

2025年、3人の学生がそれぞれ違う目的を持ってSXSWへ向かいました。Pitchに立った人、専門外のセッションやメンタリングを回った人、英語への不安を抱えながら人に話しかけた人。同じAustinにいても、見えていたものは少しずつ違いました。

ABOUT THIS CASE

この記事は、2025年4月に東京で開催したSXSW 2025報告会「Road to Austin」のパネルセッションをもとに再編集しています。

登壇したのは、MyEndoscopeでSXSW Pitchに挑戦した鷲見さん、現地でセッションやメンタリング、ネットワーキングを経験した倉嶋さん、キャリアやメンタルヘルス×テクノロジーへの関心を持って参加した仮山さん。

モデレーターは、3人のSXSW参加を支援したZIPAIR マーケティング部の関さんでした。支援した側が聞き手となり、現地で何が起きたのかを3人と一緒に振り返ったセッションです。

SXSW 2025報告会 学生パネル

SXSW 2025報告会「Road to Austin」。3人の学生とZIPAIR 関さんによるパネル。

3人の話を聞いていて面白かったのは、「学生がSXSWへ行くとこうなる」という一つの答えがなかったことです。

一人は、自分たちのプロダクトを世界へどう伝えるかを考えていました。

一人は、普段の専門領域から少し離れて、いろいろな人の話を聞いていました。

もう一人は、自分の関心やこれからのキャリアについて、現地で出会った人と話していました。

出発時点で持っていたものも違えば、持ち帰ったものも違います。

THREE EXPERIENCES

鷲見さん|MyEndoscope / SXSW Pitch
ポータブルな内視鏡トレーニングシステムを開発し、Student部門のファイナリストとしてPitchに挑戦。

倉嶋さん|セッション・メンタリング・交流
ハード・ソフトの開発活動を行いながら、SXSWでは普段の専門だけに絞らず、いくつものプログラムを回った。

仮山さん|キャリア・メンタルヘルス×テクノロジー
自分の関心を持って現地へ入り、メンターや参加者との対話を重ねた。

鷲見さん|3分のPitchを作るうちに、伝え方そのものが変わっていった

鷲見さんがAustinで立ったのは、SXSW Pitchのステージでした。

2025年に経験した形式は、3分間のプレゼンテーションと、その後の7分間のQ&A。

限られた時間の中で、何を作っているのか、なぜ必要なのか、誰のためのものなのかを伝えます。

その準備は、Austinへ着く前から続いていました。

海外メンターと約2か月オンラインでやり取りし、現地でもリハーサルを重ねたそうです。

「日本で感じる“プレゼンの上手さ”と、SXSWで求められる“伝わる力”は別物。誰に、どう届けるかを徹底的に磨かないと勝負にならない」

— 鷲見さん / MyEndoscope

英語を直すだけなら、翻訳の問題です。

でも実際には、「この話のどこに相手が関心を持つのか」を考えながら、構成そのものを何度も作り直していった。

国内では説明しなくても伝わっていたことが、海外では質問される。

逆に、自分たちが強調していた部分とは違うところに相手が反応する。

Pitchを準備する時間そのものが、自分たちのプロダクトを別の人の目から見直す時間になっていました。

PITCH|WHAT CHANGED

英語に直すうちに、
自分たちが何を伝えたいのかまで見直すことになった。

倉嶋さん|専門の外へ出ると、自分の「普通」が少し見えてきた

倉嶋さんの過ごし方は、Pitchとはかなり違いました。

セッションを見たり、Mentor Sessionへ行ったり、人と話したりしながら、分野をまたいでSXSWを歩いています。

「SXSWに来ている人たちは、本当にジャンルも国もバラバラ。でも共通していたのは、“自分の言葉で何かを伝えたい”という熱量だった」

— 倉嶋さん

同じ大学や研究室、同じ業界にいると、説明しなくても通じる言葉があります。

何が新しいのか。

どこが難しいのか。

なぜ面白いのか。

その前提を共有していない人と話すと、思いがけない質問が返ってきます。

倉嶋さんの話を聞いていると、海外へ行って新しい知識を集めることと同じくらい、自分が普段どんな前提の中にいたのかに気づく時間があったように感じました。

SXSW 2025に参加した学生たち

仮山さん|話しかけてみると、そこから次の関係が生まれた

仮山さんは、現地で英語への不安も感じていたと話しています。

それでも、メンターや参加者へ声をかけました。

「英語に不安があっても、SXSWでは“伝えようとする姿勢”が通じる。思い切って話しかけたら、相手が自分のことを本気で考えてくれる。それが本当にうれしかったです」

— 仮山さん

そこで終わった会話ばかりでもありませんでした。

SNSでつながったり、別の場所でもう一度会ったりして、関係が続いていった人もいたそうです。

初めて海外イベントへ行くと、英語がどこまで話せるかを考えてしまいます。

仮山さんの経験からは、それとは別に、「自分はこの人に何を聞きたいのだろう」という問いがあると、最初の一言を出しやすくなることも見えてきます。

A CONVERSATION THAT CONTINUED

現地で交わした一言が、
その日の外まで続く関係になることもある。

3人とも、帰国する頃には「自分の見え方」が少し変わっていた

3人がAustinでしていたことは違いました。

Pitchを磨く。

専門外の人と話す。

自分の関心を持ってメンターに会いに行く。

それでも、報告会で話を聞いていると少し似た感覚がありました。

海外で誰かに説明したり、質問されたりするうちに、自分が何をしようとしているのかが前より見えやすくなっていることです。

「自分たちのプロダクトを伝えるために、どんなメッセージが必要なのか。誰に何を届けるべきか。それを探す旅だった。自分にとっての“ピース”を、あの場所で見つけた気がします」

— 鷲見さん / MyEndoscope

「海外へ行ったから答えが見つかった」というより、普段とは違う人に自分の話を渡したことで、考える材料が増えた。

3人の話には、そんな感じがありました。

その3人をAustinまで運んだZIPAIRと、報告会で再び経験を聞く

このパネルで3人の話を聞いていたのが、ZIPAIR マーケティング部の関さんでした。

ZIPAIRは学生たちのSXSW参加を支援し、Austinまでの移動を支えています。

そして帰国後の報告会では、関さん自身がモデレーターとなり、「現地へ行って何が起きたのか」を一人ずつ聞いていました。

「挑戦したい若者に、まず“現地に行く”という機会を届けること。ZIPAIRは、その“最初の一歩”を支える存在でありたいんです」

— ZIPAIR マーケティング部 関さん

海外での経験について考えるとき、本人の行動に目が向きます。

でも実際には、Austinへ行くまでにもいくつもの条件があります。

航空券を取る。

現地まで移動する。

参加機会を知る。

Pitchなら準備を支える人がいる。

そして帰ってきたあと、自分の経験を言葉にする場がある。

今回の3人の体験の周りにも、そんな支えがいくつか重なっていました。

ZIPAIR × STUDENT CHALLENGE

行く前には渡航を支え、
帰国後には「何があったか」を一緒に振り返る。

学生の時期にSXSWへ行くと、「まだ決まっていないもの」も持っていける

3人とも、すでに何かを始めていました。

一方で、事業も、研究も、キャリアも、まだ途中です。

その状態で海外へ行くと、反応を受けてから変えられる部分がたくさんあります。

プロダクトの説明を変える。

自分が見たい分野を変える。

それまで考えていなかった人と話す。

帰国後の進路について考え直す。

完成したものを持っていく経験とは、少し違います。

むしろ、まだ決まっていない部分が多いからこそ、現地で受け取ったものが入り込む余地も大きいのかもしれません。

SXSW JAPAN NOTE

まだ途中だから、
海外で出会った問いによって変わる余地がある。

SXSW 2025学生参加支援

報告会の最後まで聞いても、3人から同じ答えが出てきたわけではありませんでした。

鷲見さんにはPitchがあり、倉嶋さんには専門外の人との出会いがあり、仮山さんには話しかけてみた先に続いた関係がありました。

その違いも含めて、学生がSXSWへ行く面白さなのだと思います。

同じ場所へ行っても、持っていく問いによって、見えるAustinは少しずつ変わります。