PERSPECTIVE|HOW SXSW WORKS|PEOPLE
SXSWの街を歩いていると、会場の入口、映画館、Conference Room、Music Venue、案内デスクなど、いたるところでボランティアに出会います。その数は毎年3,000人以上。巨大イベントを支えているのは、運営会社のスタッフとオースティンに住む人たちです。
毎年3,000人以上が、SXSWを動かしている
SXSWのボランティアは、毎年3,000人以上。
現在の公式Volunteer Programでは、仕事は13のCrewに分かれています。
Registration、Conference Venues、Film & TV、Music Venues、Exhibitions、Accessibility、Ambassadors、Event Support、Event Transportation、Line Guides、Tech Set Upなど。その役割を見ると、単なるイベント受付とはかなり違います。
3,000+
毎年SXSWに参加するボランティア。現在は13のCrewから役割を選ぶ。
Conference VenueならBadgeをスキャンし、列を整理し、会場の定員を確認する。Film & TVなら上映時間や入場列を案内し、劇場が時間通り動くよう支える。Music Venueではアーティストの機材搬入やステージのセットアップを手伝うこともあります。
Transportationでは人や機材を街の中で動かし、Accessibilityでは障害のある参加者のアクセスを支える。
SXSWのかなり具体的な部分に、ボランティアが入っています。
「お手伝い」より、イベントの一部に近い
私はSXSWへ行くたびにボランティアのみなさんを見ていますが、巨大イベントに人手を追加するためだけの存在とは少し違って見えます。
参加者が最初にCredentialを受け取る場所にもいる。人気セッションへ入れるかどうかを案内する人もいる。映画館で列を整理している人も、Music Venueでアーティストを支えている人もいる。
つまり参加者が「SXSW」として接している体験のかなり多くを、ボランティア自身がつくっています。
3,000人のボランティアがイベントを手伝っている、というより、3,000人も含めてSXSWができている。
前の記事で、SXSWではホテル、劇場、ライブハウス、道路までがVenueになり、街全体へイベントが広がっていることを書きました。
場所がそれだけ分散すれば、それを動かす人も街のあちこちに必要になります。
SXSWの「街全体が会場」という構造は、この人のネットワークとセットになっているように見えます。
一つの「ボランティア」ではなく、13のCrewがある
もう一つ興味深いのは、3,000人を一括して「ボランティア」として扱っているわけではないことです。
参加するときには、自分が活動するCrewを選びます。原則として、一人が所属できるのは一つのCrewです。
たとえば、こんな役割があります。
Conference Venues
Badge Scan、列整理、座席や定員管理、Speaker・参加者への案内。
Film & TV
上映列、劇場内の案内、定員情報、上映を時間通り進めるためのサポート。
Music Venues
アーティストの機材搬入・搬出、Stage Managerや出演者のサポート。
Accessibility
Accessibility Desk、Sensory Room、Accessible Seatingなどの案内。
Event Transportation
出演者・Speaker・機材の移動やShuttle利用者の案内。
必要とされる能力もCrewによって違います。
人と話すことが多い仕事もあれば、機材を運ぶ仕事もある。長時間歩くCrewも、Conference Roomの中で技術を支えるCrewもあります。
巨大なイベントを「3,000人で支える」のではなく、仕事を異なるCrewへ分け、その集合としてイベントを動かしていることがわかります。
30時間働くと、Platinum Badgeがもらえる
SXSWのVolunteer Programには、もう一つ特徴的な仕組みがあります。
30時間以上ボランティアとして活動すると、SXSWのVolunteer Platinum Badgeが提供されます。
Platinum Badgeは、SXSWのConferenceとFestivalsを横断してアクセスできるBadgeです。
ボランティアにはTシャツ、6時間のShiftごとの食事、条件を満たした場合のVolunteer Appreciation Partyへの招待なども用意されています。
ボランティアは無条件にBadgeを受け取るわけではなく、Platinum Badgeの対象となる活動時間は30時間以上。CrewごとのTrainingや事前準備が必要な場合もあります。
つまり、イベントを支える時間と、イベントを参加者として体験する時間が、一人の中に両方あります。
ここが面白いところです。
働く側と、参加する側を完全に分けない。
ボランティアとしてSXSWをつくりながら、Shiftの外では自分自身もSXSWを体験する。
運営した人が、そのままSXSWの参加者になる
この仕組みを見ていると、ボランティアを単純に「無料の労働力」として捉えるだけでは、SXSWで起きていることを説明しきれません。
もちろん、3,000人以上が活動することで巨大イベントの運営が支えられているという側面はあります。
一方でボランティア自身も、SXSWへ入っていく入口を得ています。
Conferenceを支えた人が別の日にはFilm & TVを見る。Music Venueを支えた人がConferenceへ行く。そこで新しい人や作品、アイデアに出会う。
SXSW公式のボランティア紹介でも、参加者自身が「community」「relationships」「shared mission」といった言葉で経験を語っています。
イベントを支える側に入ることそのものが、一つの参加方法になっているように見えます。
街のインフラだけでは、SXSWは動かない
ここまでHOW SXSW WORKSの記事で、経済効果、40年間の変化、街全体に広がるVenueを見てきました。
ホテルや劇場があり、道路があり、企業がHouseをつくる。
でも、それだけではイベントは動きません。
誰かが入口に立ち、誰かがBadgeを確認し、誰かが列を整理し、誰かが出演者を支え、誰かが迷っている参加者に道を教える。
街のあちこちに広がったイベントをつないでいるのは、物理的なVenueだけではなく、そこにいる人でもあります。
3,000人以上という数字を見ると、ボランティアもSXSWを動かす一つの「人のインフラ」のように見えてきます。
しかも、その人たちはイベントの外側から支えるだけではありません。
自分自身もSXSWに参加し、人と出会い、翌年また戻ってくる人もいる。
前の記事で書いた「毎年Austinへ戻ってくる関係性」は、こういうところからも生まれているのかもしれません。
SXSWをつくる人と、SXSWに参加する人。その境界が少し曖昧になっている。
3,000人以上のボランティアという仕組みを見ていると、巨大イベントを支えているものが、施設や資金だけではないことが見えてきます。
では、SXSWの中に自分たちの場所をつくっている企業はどうでしょう。
次は、毎年Austinの街に現れる企業Houseから、SXSWと企業の関係を見てみます。
HOW SXSW WORKS
巨大イベントを「人の動き」から見る
SXSW Japanでは、大規模イベント、カンファレンス、MICE、地域イベントなどに関わる企業・自治体・団体向けに、SXSWの運営構造や街との関係を読み解く講演・ブリーフィングを行っています。
SXSW開催期間中には、通常のセッション視察とは少し違う、「イベントそのものを見る」ための現地視察についてもご相談いただけます。Venueだけでなく、ボランティア、運営、人の流れまで含めてAustinで観察します。
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HOW SXSW WORKS700人から始まったSXSWは、なぜ40年続くイベントになったのか→
HOW SXSW WORKS|COMING SOONSXSWでは、なぜ企業が「ブース」ではなくHouseをつくるのか
SOURCES
SXSW, “Volunteer at SXSW & SXSW EDU”
SXSW Support, “How many hours do I need to volunteer?”
SXSW Support, “What are the perks of volunteering?”
SXSW Support, “What will I be doing as a volunteer?”




