なぜオースティンにロボタクシーが集まるのか?Cybercab、Waymo、Zooxを現地から

オースティン・ロボタクシー事情

AUSTIN ROBOTAXI GUIDE | SXSW JAPAN

オースティンの街で、運転手のいないタクシーを見かける機会が増えています。Uberで呼べるWaymo、TeslaのRobotaxi、そしてハンドルもペダルもないCybercab。Amazon傘下のZooxも公道で試験走行を続けています。

Austinに暮らすSXSW JapanメンバーのAyaから、金色のCybercabが道路を走る動画が届きました。自動運転車が、展示会場ではなく生活のすぐそばを走っている。その様子を見て、ひとつ気になりました。なぜAustinには、これほど多くのロボタクシーが集まっているのでしょうか。

この記事では、現地で見られる車両の違い、Austinで導入が進む背景、SXSWとの接点をたどります。2027年に訪れる人に向けて、利用方法も紹介します。

住宅街を走ってきた、ハンドルのない車

Ayaが送ってくれた動画に映るのは、丸みのある金色の小さな車。TeslaのCybercabです。車内には2人分の座席がありますが、ハンドルもアクセルペダルもありません。人が運転することを想定しない、自動運転専用の設計です。

Cybercab|街を走る専用車両

動画:住宅街を走るTesla Cybercab
Ayaが撮影した金色のCybercabは、Teslaが開発した2人乗りの自動運転専用車両です。ハンドルもアクセル・ブレーキペダルもなく、乗客が前向きに座る設計です。映像では、テストコースではなくAustinの一般の道路を走る姿が確認できます。車外からの撮影なので、実際の乗車体験や運行条件を示す映像ではありません。

ただし、道路を走っているからといって、誰でもすぐ乗れるわけではありません。Teslaが案内するCybercabの乗車サービスは、Austinの限られたエリアが対象です。(2026年10月現在)

Waymo、Tesla、Zoox。街で見かける車はそれぞれ違う

Austinで活動する自動運転企業はTeslaだけではありません。車のつくりも、乗り方も、それぞれ異なります。

Teslaの「Robotaxi」は配車サービスの名前です。そこでは、ハンドルを備えたModel Yも使われています。Cybercabは、運転席そのものをなくした専用車両の名前。二つを区別すると、街で見かけるTeslaの車も分かりやすくなります。

Waymo|Uberを開くと無人の車が来ることも

Waymoは2025年3月、Uberとの提携による一般向けサービスをAustinで始めました。Uberアプリで配車を依頼すると、条件が合えばWaymoの車両が割り当てられます。使用車両は電気自動車Jaguar I-PACEをベースにしたもので、屋根などに取り付けられたセンサーで周囲を認識します。Cybercabと異なり、車内には通常の運転席とハンドルがありますが、無人運行時にはドライバーが乗りません。

動画:Waymoに実際に乗ってみた
2026年3月にAustinで撮影した乗車体験です。指定した位置にちゃんと迎えにきてくれて、走行中はドライブにぴったりなポップミュージックを流してくれました。

Tesla Model Y Robotaxi|赤い車両

動画:赤いTesla Model Y Robotaxi
Ayaが撮影した赤い車両は、TeslaのModel YをベースにしたRobotaxiです。専用設計のCybercabとは違い、一般向け乗用車と同じようにハンドルやペダルを備えています。映像はAustinの道路を走る車両を外から撮ったものです。

Zoox|車内の座席は向かい合わせ

動画:Austinを走るZoox
Amazon傘下のZooxは、既存の乗用車を改造するのではなく、ロボタクシー専用の車体を開発しています。車内は乗客が向かい合って座る構造で、従来の運転席はありません。Ayaの動画では、特徴的な形の車両がAustinの道路を走る様子を確認できます。

なぜAustinに集まるのか。テキサス州の制度と企業の事情

Austinは米国でもPhoenixやSan Franciscoなどと並びロボタクシー先行都市です。Austinで複数社の車両を見かける背景には、いくつかの条件が重なっていると考えられます。

まず、テキサス州の制度です。州は2017年に自動運転車の運行規制を州の権限に集約し、市ごとに異なる規制を設けられない仕組みにしました。事業者は州内で共通のルールを前提に計画を立てられます。2026年には無人の商用自動運転車を対象とする事業者認可制度も始まりました。

TeslaにとってAustinは、本社とGigafactory Texasがある街でもあります。開発・製造の拠点に近い場所で新しいサービスを展開するのは合理的だと考えられます。ただし、それが進出先を決めた理由だとTeslaが説明しているわけではありません。Waymoの場合は、Uberとの提携が一般向けサービスの入口になりました。

制度が整っていても、運行上の問題がなくなるわけではありません。車両の停止や緊急車両への対応など、市の交通・消防・警察との連携が必要になる場面もあります。Austin市は、こうした連携について公式サイトで情報を公開しています。

Waymoが走り始めた翌週、SXSWでUberと語ったこと

AustinとSXSWの関係で興味深いのが、Waymoのサービス開始時期です。Uberを通じた一般向け配車が始まったのは2025年3月4日。その1週間後、SXSW 2025では「Making Autonomous Ride-Hailing a Reality in Your City」というセッションが開催されました。

WaymoとUberの担当者が登壇し、自動運転の配車サービスを都市で実現するための取り組みを紹介しています。参加者はカンファレンスで話を聞くだけでなく、会場の外で始まったばかりのサービスを利用する機会もあったわけです。

SXSWの開催が、企業のAustin進出を決めたとまでは言えません。ただ、SXSWで議論される技術が、開催都市ではすでに走り始めている。そんな距離の近さは、Austinを訪れる楽しみのひとつです。

SXSW 2027で乗ってみるには?

2026年10月時点で、WaymoはUberアプリから条件が合えば利用できます。TeslaはRobotaxiアプリで対象エリアと利用条件を確認する方式です。ZooxはAustinでの一般向け乗車サービス開始前です。

SXSW 2027までに提供エリアや乗車条件が変わる可能性があります。会場やホテルが対象エリアに入るとも限らないため、渡航前に各社の公式情報を確認してください。

Austinに暮らすメンバーから届いた短い動画は、SXSWの会場の外でも、街が変化していることを教えてくれます。次にAustinを歩くときは、道路を走る車にも少し目を向けてみてください。

SOURCES

Tesla Cybercab / Uber / Waymo Austin / Zoox Austin / City of Austin

サービス状況は2026年10月時点。動画の掲載許可・撮影クレジットは公開前に確認します。

文:SXSW Japan編集部