PERSPECTIVE|MAIKO MIYAGAWA

宮川 麻衣子|Maiko Miyagawa
Director of SXSW Japan
Futurist / SXSW Official Speaker
SXSWには、音楽やテクノロジーだけでなく、世界中から映画・TV・XR作品が集まるFilm & TV Festivalがあります。
2024年11月、Inter BEEでPRONEWS猪川編集長と、SXSW Film & TVについてお話しする機会がありました。
私は2012年からSXSWに通っていますが、Film & TVのおもしろさは、単に「映画祭が同時開催されている」ことではないと思っています。インディペンデント作品のすぐ隣に大作のワールドプレミアがあり、映画を見終えて街へ出れば、音楽やテクノロジー、スタートアップの人たちと混ざっていく。作品と、その作品が届く先の世界との距離がとても近いんです。
この記事では、Inter BEEで猪川さんと話したことも振り返りながら、SXSW Film & TVがどんな場所なのか、そして日本から作品を持っていくことについて考えてみます。
SXSW Film & TVとは?
SXSWにFilmが加わったのは1994年。現在は「SXSW Film & TV Festival」として、SXSWを構成する主要なフェスティバルのひとつになっています。

Film & TV Festivalでは、長編映画、ドキュメンタリー、ショートフィルム、TVシリーズ、Music Video、XRなど、従来の「映画祭」という言葉だけでは収まりきらない作品が上映・展示されています。
2027年は3月15日〜21日に開催予定です。映画を見るだけでなく、映像制作者、ショーランナー、脚本家、業界関係者が参加するConferenceも同じ街で開催されます。
他の映画祭と何が違う?
私がSXSW Film & TVを歩いていて毎回感じるのが、作品、観客、クリエイター、そして他の産業との距離の近さです。
大作映画のプレミアが上映される一方で、そのすぐ近くではインディペンデント映画やショートフィルムが上映され、街へ出ればMusicのShowcaseやテクノロジーのイベントが開かれています。
FROM INTER BEE 2024
「SXSWは、観客とクリエイターの距離が非常に近いのが特徴です。例えば、レッドカーペットを歩くような有名な監督や俳優でも、バーの席で隣に座って会話が始まることもある。こうした偶然の出会いが、新しいクリエイティブなコラボレーションを生むことも珍しくありません。」
— PRONEWS 猪川編集長/Inter BEE 2024での対談より
上映会場の中だけで完結せず、街を歩いている時間や、その前後の会話までが映画祭の一部になっている。これは、SXSW Film & TVを現地で体験するとよくわかります。
映画だけではない。SXSWだから出会える映像表現
SXSW Film & TVのおもしろさは、長編映画だけを見ていると捉えきれません。
TVシリーズ、ショートフィルム、ドキュメンタリー、Music Video、XR Experienceまでが同じFilm & TV Festivalの中にあります。映像のフォーマットそのものが変化している現在、その境界をまたいで作品を見ることができます。
SXSW FILM & TV 2027|SUBMISSION CATEGORIES
Feature Film|Narrative / Documentary
Short Film|Narrative / Documentary / Animated
TV Project|Pilot / First Season Content
XR Experience|VR / AR / MRなどのImmersive Project
Music Video|ミュージックビデオ作品
「映画祭だから映画を応募する」というより、自分がつくっている映像表現がどのカテゴリーに接続できるのかを見ると、SXSWへの入口は意外と広いことがわかります。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もSXSWから始まった
SXSW Film & TVを象徴する近年の作品のひとつが、ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』です。
同作は2022年、SXSW Film FestivalのOpening Night Filmとしてオースティンでワールドプレミアされました。その翌年にはアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞など7部門を受賞しています。

もちろん、SXSWで上映されたから、その後の成功が決まるわけではありません。ただ、まだ評価が固まりきっていない作品と観客が最初に出会う場所のひとつであることは、SXSW Film & TVのおもしろさだと思います。
日本からもSXSW Film & TVに応募できる?
はい。日本からもFilm & TV Festivalへ作品を応募できます。
応募はSXSW公式サイトから行います。2027年はFeature Film、Short Film、TV Project、XR Experience、Music Videoの5カテゴリーで作品を募集しています。
審査用の作品はオンラインのリンクで提出します。カテゴリーごとに上映歴などのEligibilityやPremiere Statusに関する条件が異なるため、応募前に自分の作品が条件を満たしているかを公式ルールで確認してください。
SXSW FILM & TV 2027|DEADLINES
応募開始|2026年7月28日(火)
First Deadline|2026年8月25日(火)
Second Deadline|2026年9月15日(火)
Final Deadline|2026年10月1日(木)
※すべて米国太平洋時間(PT)23:59締切。応募料は締切時期・カテゴリーによって異なります。
応募時期が遅くなるほど応募料も上がるため、応募を考えている場合は早めに準備しておくのがおすすめです。
上映されることだけが、SXSWに参加する意味ではない
SXSWで作品が上映されると、その作品を見るのは映画ファンだけではありません。プロデューサー、配給、メディア、ブランド、テクノロジー企業、音楽関係者など、普段なら別々の場所にいる人たちもオースティンに集まっています。
映画の上映後に話した相手と、翌日は別のConference Sessionで会う。夜にはMusic Showcaseで再会する。SXSWでは、そんな分野をまたいだ接触が自然に起こります。
作品を海外へ持っていく意味は、上映回数や受賞歴だけでは測れません。自分の作品が、異なる文化や産業の人にどう受け取られるのかを、その場で確かめられることにも価値があると思います。
日本から作品を持っていく、ということ
Inter BEEでこの話をした背景には、日本からSXSW Film & TVへ参加する人がまだ多くない、という実感がありました。
海外の映画祭へ応募すると考えると、完成度の高い「海外向け」の作品でなければいけないように感じるかもしれません。でもSXSWを見ていると、必ずしもそうとは限りません。
その土地でしか生まれなかった視点や、まだ評価の定まっていない表現、既存のジャンルにきれいに収まらない作品が、思いがけない文脈で受け取られることがあります。
自分たちには当たり前に見えているものが、オースティンへ持っていくと、まったく別の意味を持ち始める。その可能性も、海外の映画祭へ作品を持っていく理由のひとつだと思います。
SXSW Film & TV 2027への応募を考えている方へ
2027年のFilm & TV Festivalへの応募は、2026年10月1日が最終締切です。
応募カテゴリーによって作品の条件やPremiere Statusなどのルールが異なります。応募を検討している方は、まず公式のSubmission情報を確認してください。
NEXT STEP
SXSWのFilm & TV、Music、Pitchなどへの応募方法を知りたい方へ
文:宮川麻衣子|SXSW Japan Office Director / Futurist
本記事は2024年11月にInter BEEで行われたPRONEWS猪川編集長とのセッション内容をもとに、SXSW 2027の情報を加えて再構成しています。応募条件・締切などは変更される場合があります。応募時には必ずSXSW公式サイトで最新情報をご確認ください。



