SXSW JAPAN GUIDE|THREE CITIES
SXSWはAustinで生まれ、2023年にSydney、2025年にLondonへ広がりました。同じSXSWの名前を持ちながら、街に出てみると、隣にある文化も、集まる地域も、一日の過ごし方も少しずつ違います。3都市が並んだ時期を振り返ると、都市がFestivalそのものをどう変えるのかが見えてきます。
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この記事を最初に書いたのは2025年4月15日。AustinでSXSW 2025が終わり、Londonの第1回開催を約1か月半後に控えていた時期でした。
当時はAustin、Sydney、Londonという3都市のSXSWが並び、「それぞれ何が違うのか」を紹介していました。
その後、Londonは実際に2回開催され、Sydneyは2025年を最後に3年間の開催を終えました。今回は、開催前の予想も残しながら、現在から3都市を振り返ります。

2025年当時、Austin・Sydney・Londonの3都市へ広がったSXSW。
2025年、SXSWという名前が3つの都市に並んだ
SXSWが始まったのは1987年のAustinです。
長いあいだ「SXSW」といえばTexas州Austinで毎年3月に開催されるFestivalを指していました。
そこに2023年、Austin以外では初めてとなるSXSW Sydneyが加わりました。
さらに2025年、Europe初のSXSW LondonがEast LondonのShoreditchでスタートします。
このとき初めて、同じSXSWという形式を、North America、Asia-Pacific、Europeという3つの地域で見比べられる状態になりました。
Conference、Music、Screen、Technologyなどが交わる基本的な考え方は共通しています。
でも、その周りにある街や産業、文化が変わると、前に出てくるテーマも変わります。
THREE CITIES|2023–2025
AUSTIN|1987–
Texasで生まれた原点。Conference、Film & TV、Music、Expo、企業のActivationなどがDowntownを広く使って同時に進む。
SYDNEY|2023–2025
最初の海外展開。Asia-Pacificを地理的な中心に、Technology、Music、Screenに加えてGamesも大きく展開した。
LONDON|2025–
Europe初のSXSW。Shoreditchを舞台に、TechnologyとCreative Industries、Music、Screen、Artsが近い距離で交わる。
Austin|街ごとFestivalの中へ入っていく
私が2012年から通ってきたのは、Texas州AustinのSXSWです。
毎年3月になると、Downtownのホテル、劇場、ライブハウス、レストラン、駐車場まで、さまざまな場所にSXSWのプログラムが現れます。
朝はConferenceへ行き、昼にExpoを歩き、途中で企業のHouseへ寄り、夜になるとMusicやFilmへ移動する。
予定表では別々のカテゴリーでも、参加者の一日はその間を行ったり来たりします。
その移動の途中で、予定していなかった展示やライブ、人に出会うこともあります。
Austinを何年も見ていると、SXSWのプログラムと街の境界がかなり曖昧になる期間だと感じます。
AUSTIN|THE ORIGINAL CITY
会場へ行くというより、
街を移動しているあいだもSXSWが続いている。
Technologyだけ、Musicだけ、と一つの業界に閉じず、違う領域の人が同じDowntownを動いている。
SXSWが長く掲げてきた「Convergence」は、Austinでは街の使われ方そのものにも表れています。
Sydney|Asia-Pacificの人とテーマが前に出た3年間
SXSW Sydneyは2023年に始まりました。
Austin以外で初めて開催されたSXSWで、Australiaを中心にAsia-Pacific地域の企業、クリエイター、Startup、スピーカーが集まる場として設計されました。
Technology、Music、Screenに加えて、Gamesもプログラムの大きな柱になっていました。
2025年には1,600のSessionやEventが予定され、Conference、Music、Screen、Games、Brand Eventが一週間に展開されました。
Austinで世界中から集まる人を見るのと、Asia-Pacificを一つの地域として近い距離で眺めるのとでは、目に入る企業や課題も変わります。
Australiaだけでなく、AsiaやOceaniaの企業・クリエイターが同じProgramの中に並ぶこと自体が、Sydney版の特徴になっていました。
SYDNEY|ASIA-PACIFIC
世界を見る入口が、
Asia-Pacific側へ移った3年間。
SXSW Sydneyは2023年、2024年、2025年の3回開催されました。
2026年1月、NSW州政府はイベントオーナーとの協議を経て、2026年と2027年の開催を進めないことを公表しています。
つまり、この記事の初版で紹介した「3つのSXSW」という状態は、2023〜2025年に存在した一つの時期として残ることになりました。
London|ShoreditchにSXSWが入ると、Cultureとの距離が近くなった
初版を書いた2025年4月には、Londonはまだ一度も開催されていませんでした。
当時気になっていたのは、開催地がShoreditchだったことです。
Startup、Design、Music、Fashion、Art、Night Cultureなどが近い地域に、SXSWのConference、Music、Screen、Artsが入ってくる。
その組み合わせが実際にどう見えるのかは、まだ予想の段階でした。
2025年の初開催では、25,327人が参加し、34会場で500以上のConference Session、110以上のScreen作品、500以上のMusic Artistsによるプログラムが展開されました。
会場の多くはShoreditchにある既存の劇場、Club、Gallery、Event Spaceなどです。
TechnologyのSessionを出たあとに少し歩けばMusicがあり、ScreenやArtsも同じ地域の中にある。
Austinとは違う都市の密度の中で、SXSWのカテゴリーが隣り合いました。
LONDON|SHOREDITCH
SXSWのProgramの間に、
Shoreditchの普段のCultureがそのまま残っている。
2年目の2026年には、初年度の経験を受けて会場をTruman Brewery周辺へ集約。
Sessionを長くし、Q&Aを組み込み、Conference、Music、Screen、Visual Artsを一つのProgramとして回りやすくする変更も行われました。
LondonはAustinの形式をそのまま固定して持ってきたというより、開催しながらShoreditchに合う動線を探している途中に見えます。
3都市を並べると、「何が隣にあるか」が違う
2025年4月の記事では、3都市を「どんな人におすすめか」で分けていました。
今振り返ると、もう少し面白い見方があります。
それぞれの街で、SXSWの隣に何があるのかを見ることです。
WHAT SITS NEXT TO SXSW?
AUSTIN
Technologyの隣にMusicがあり、Film & TVがあり、Startupや企業のHouseがDowntown全体へ広がる。
SYDNEY
Asia-PacificのStartupやCreator、Games、Screen、Musicが同じ地域のFestivalとして並ぶ。
LONDON
TechnologyとBusinessのすぐ近くに、ShoreditchのMusic、Art、Fashion、Creative Industriesがある。
Conferenceの形式だけを比べると、どの都市にも似ている部分があります。
街まで含めて見ると、その周りにある産業や文化、人の流れによって、同じプログラムの意味も少し変わります。
AIについて話しているSessionが、AustinではStartupや企業展示の近くにあり、LondonではCreative IndustriesやArtsの風景と近くなる。
都市が変わることで、そこで出会う「隣の分野」も変わっていきます。
Sydneyが終わったことも、SXSWのグローバル展開の記録になった
2025年の時点では、Austin、Sydney、Londonという3都市展開がこのまま続いていくように見えていました。
その後、Sydneyは3回で開催を終え、Londonは2年目を経て2027年へ続いています。
同じFestivalの名前を別の都市へ持っていくと、Programだけでなく、現地の市場、文化、運営環境との関係も生まれます。
Sydneyの3年間も、SXSWがAustinの外へ出たときにどんな形になり得るのかを試した一つの章として残りました。
STATUS|UPDATED SEPTEMBER 2026
SXSW Austin
1987年からTexas州Austinで継続。
SXSW Sydney
2023〜2025年の3回を開催。2026年・2027年は実施しないことが公表されている。
SXSW London
2025年に開始。2026年に第2回を開催し、2027年5月24〜29日のShoreditch開催が発表されている。
2025年4月には、Londonの姿をまだ想像していた
この記事の最初の版には、「SXSWらしさとLondonらしさがどう混ざるのか」という問いを書いていました。
その時点では、Shoreditchでどんな動線が生まれるのかも、Artsがどんな位置を占めるのかも、実際にはわかっていませんでした。
開催後に振り返ると、都市が変わることでSXSWそのものの見え方も変わる、という予想は確かに残っています。
一方で、その違いを「Austinはこういう人向け」「Londonはこういう人向け」ときれいに分けるのは難しい。
同じ人がAustinとLondonの両方へ行けば、同じテーマを別の文化や別の人たちの間から見ることもできます。
Sydneyを含めた3都市の時代を振り返ると、SXSWが増えたことで増えたのは、イベントの数だけではなく、一つの変化を見るための「場所」だったのだと思います。
SXSW JAPAN NOTE
Austin、Sydney、London。
同じSXSWでも、都市が変わると、
隣り合うものが変わっていました。




