FIELD GUIDE|OVERSEAS EXHIBITION
海外展示会は、「大きい」「有名」「来場者が多い」という理由だけで選ぶと、自社の目的と合わないことがあります。
同じ「海外展示会」でも、商談を目的とした見本市、業界関係者が集まるカンファレンス併設型、一般消費者も訪れるイベント、複数の業界とカルチャーが交差するフェスティバル型では、会える人も、求められる見せ方も大きく違います。
この記事では、海外展示会への出展を検討するときに、イベント名や規模の前に確認したい7つの判断軸を整理します。
海外展示会は「どこが有名か」より、「何を起こしたいか」で選ぶ
海外展示会を探し始めると、来場者数、出展社数、開催規模、知名度などの数字がまず目に入ります。
もちろん、規模は判断材料のひとつです。ただし、来場者が多ければ自社にとって良い展示会とは限りません。重要なのは、自社が会いたい相手が、どんな目的でその場所に集まっているかです。
展示会を選ぶことは、「場所」を選ぶことではなく、「誰と、どんな会話を起こすか」を選ぶこと。
この視点を持つと、「とにかく有名なイベントへ出る」という選び方から離れやすくなります。
ポイント1|出展の「成果」を先に決める
まず決めたいのは、「海外展示会に出ること」ではなく、出展した結果として何が起きてほしいのかです。
- 海外の販売代理店・Distributor候補と会いたい
- 新製品が海外市場でどう受け取られるか試したい
- 業界内でのBrand Awarenessを高めたい
- 企業のVisionや研究テーマを発信したい
- 顧客ではなく、PartnerやInvestorと出会いたい
- 特定の国・地域への進出可能性を確かめたい
目的によって、選ぶべきイベントも、展示のつくり方も変わります。複数の目的がある場合でも、まず主目的を一つ決めておくと判断しやすくなります。
ポイント2|「何人来るか」より、「誰が来るか」を見る
来場者数10万人の展示会でも、自社のターゲットがほとんどいなければ意味は薄くなります。逆に、数千人規模でも意思決定者や専門家が高い密度で集まるイベントの方が適している場合があります。
確認したいのは、たとえば次のような情報です。
- 来場者の業種・職種
- 経営層・Decision Makerの割合
- Buyer / Distributor / Media / Investorなどの参加状況
- どの国・地域から参加しているか
- 一般消費者中心か、Business Professional中心か
数字が公開されていない場合は、過去の出展企業、登壇者、Sponsor、公式Programを見るだけでも、そのイベントが誰を中心にしているかが見えてきます。
ポイント3|展示会の「型」が、自社の目的に合っているか
海外イベントには、それぞれ異なる「会話の起こり方」があります。大きく分けると、次のような型があります。
TRADE SHOW|業界特化型見本市
Buyer、Distributor、業界関係者との商談をつくりやすい。製品カテゴリーが明確で、比較検討を目的に訪れる人が多い。
CONFERENCE + EXPO|カンファレンス併設型
展示だけでなく、Session、Networking、Thought Leadershipを組み合わせやすい。製品だけでなく企業の考え方を伝えたい場合にも向く。
CONSUMER EVENT|一般来場者型
一般消費者の反応を直接見たい、新商品の体験やSamplingを広く行いたい場合に向く。来場者数だけでなく、対象層との一致を見る。
CROSS-INDUSTRY FESTIVAL|領域横断型
複数業界の参加者が混ざるため、既存業界の商談だけでなく、新しい用途、Partner、Branding、異分野との接点を探しやすい。
どの型が優れているということではありません。自社が起こしたい会話と、イベント側の構造が合っているかを見ることが重要です。
ポイント4|来場者は「何をしに来ているか」を見る
同じ業界関係者でも、そのイベントへ来る目的が違えば、ブースでの反応も変わります。
仕入れ先を探しているのか。新しい技術を探しているのか。投資先を探しているのか。業界の未来を議論しに来ているのか。単純に新しい体験を楽しみに来ているのか。
相手が「買うモード」なのか、「探すモード」なのか、「学ぶモード」なのかで、自社が用意すべき接点は違います。
ポイント5|自社の「見せ方」が、そのイベントに合うか
展示会によって、成果が出やすい見せ方も違います。
- 実物を触れば価値が伝わる製品
- Demoを体験すると理解が深まる技術
- 短い商談で判断しやすいB2B Solution
- 専門的な説明が必要な研究・Deep Tech
- ブランドの世界観まで含めて伝えたいConsumer Product
たとえば、展示ブースよりも、SessionやNetworkingを組み合わせた方が伝わる企業もあります。逆に、言葉で説明するより「まず触ってもらう」方が圧倒的に強い製品もあります。
ポイント6|「ブースの外」に何があるかを見る
海外展示会の価値は、展示時間だけで決まるとは限りません。
Conference、Pitch、Networking Party、Side Event、Meetup、企業の独自Eventなど、会場の外側にどんな接点があるかも確認しておくと、1回の海外出張でつくれる関係が変わります。
CHECK OUTSIDE THE BOOTH
「展示会へ出る」ではなく、その期間に形成されるコミュニティへどう参加するかを見る。
ポイント7|出展費だけでなく、「成果を出すまでの総コスト」を見る
海外出展では、ブース代以外にも、渡航、宿泊、施工、輸送、通関、電源・設備、通訳、現地Staff、印刷物、Sampling、事前Promotionなど、複数の費用が発生します。
加えて見落としやすいのが、会期後に商談を進めるための人員と時間です。
「出展できる予算があるか」だけではなく、「この出展を成果へつなぐ運用までできるか」を含めて判断します。
申し込む前に、候補の展示会をこの7項目で比べてみる
EXHIBITION SELECTION CHECK
- 目的:この出展で何を起こしたいか
- 相手:会いたい人は本当に来るか
- 型:Trade Show / Conference / Consumer / Cross-industryのどれか
- 行動:来場者は何をしに来ているか
- 見せ方:自社の価値を伝えやすいFormatか
- 周辺:展示以外にどんな接点があるか
- 総コスト:準備・運営・Follow-upまで実行できるか
候補を2〜3件並べて比較すると、「最も大きい展示会」ではなく、「自社の目的に最も合う展示会」が見えやすくなります。
SXSWは、一般的な業界展示会とは少し違う
SXSWは、Technologyだけでなく、Business、Film & TV、Music、Design、Cultureなど異なる領域が同じ街で交差するイベントです。
そのため、「特定業界のBuyerだけに会いたい」という目的なら、より専門性の高いTrade Showの方が適している場合があります。
一方で、海外市場での反応を見たい、異業種のPartnerを探したい、企業のVisionを発信したい、製品だけではなくBrand Experienceをつくりたい、といった目的では、領域横断型であることが意味を持ちます。
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SXSWのブランドアクティベーションとは?
展示ブース以外に、House、Pop-up、Official Eventなどで企業がどのようにブランド体験をつくっているかを紹介しています。
まだ「出展するか、視察するか」から迷っている場合
海外イベントへの参加は、必ずしも最初から出展する必要はありません。
まだ市場や参加者の特徴が分からない場合は、一度視察し、どんな企業が出ているか、どんな人が集まっているか、どんな会話が起きているかを観察してから、翌年の出展を判断する方法もあります。
SXSWへの出展を検討している企業・団体へ
SXSWには、Expoへの出展だけでなく、Sponsorship、Brand Activation、Official Event、Networkingなど、企業として参加する複数の方法があります。
「SXSWに出るなら何を選ぶべきか」という段階から、目的・Audience・予算に応じて参加方法を検討できます。
文:SXSW Japan 高橋功樹



