EDUCATION GUIDE|GLOBAL CONFERENCES
海外では、教育の未来についてどんな議論が行われているのでしょうか。
AIを授業でどう使うのか。EdTechを学校へどう導入するのか。教師の役割はどう変わるのか。大学や企業での学び直しはどうなるのか。そして、そもそもこれからの時代に「学ぶ」とは何なのか。
こうした変化を現地で知りたいと考えたとき、海外にはさまざまな教育カンファレンスがあります。
代表的なものだけでも、SXSW EDU、Bett、ISTELive、ASU+GSV Summitがあります。
ただし、この4つは同じものを見るイベントではありません。
CHOOSE BY PURPOSE
EdTech製品や導入事例を広く見るならBett。授業や教師の実践から教育の変化を見るならISTELive。教育・スキル市場やスタートアップ、投資を見るならASU+GSV。そして、テクノロジーだけでなく文化や社会まで含めて「教育そのものがどう変わるか」を考えたいならSXSW EDU。
「一番大きいイベント」を選ぶより、自分は教育の何を見たいのかから選ぶ方が分かりやすくなります。
まずは4つの教育カンファレンスを比較
| イベント | 特に見えやすいもの | こんな目的に向いている |
|---|---|---|
| Bett UK | EdTech製品、学校・大学での導入、教育ICT | 新しい教育技術や具体的な導入事例を見たい |
| ISTELive | 授業、教師、学習設計、教育実践 | テクノロジーを実際の教育現場でどう使うか知りたい |
| ASU+GSV Summit | EdTechビジネス、投資、Workforce、教育市場 | 教育を事業・産業・投資の視点から見たい |
| SXSW EDU | 教育×文化×社会×テクノロジー | 「何を学ぶか」「どう学ぶか」そのものの変化を見たい |
もちろん、それぞれのイベントには複数の側面があります。この表はイベントを固定的に分類するものではなく、海外視察先を考えるための大まかな見取り図です。
Bett|EdTechが「実際に使われるところ」を見る
Bett UKはロンドンで開催される、世界有数の教育テクノロジーイベントです。2027年は1月20〜22日にExCeL Londonで開催されます。公式にも、教育とテクノロジーが交わる場として、EdTech企業、教育関係者、政府、学校・大学など幅広い参加者が集まります。 Bett UK公式を見る →
Bettで特に見えやすいのは、教育テクノロジーが具体的な製品やサービスとして、学校や大学へどう入っていくかです。
AIを例にしても、AIについて思想的に議論するだけではなく、教材、学習管理、評価、教師支援、校務、データ活用など、実際の教育現場で使うための製品やソリューションが集まります。
2027年のプログラムでも、AI、学校経営、インクルージョン、学習者のエンパワーメントなどが扱われ、Higher Education向けには「Ahead by Bett」という専用プログラムも用意されています。 2027 Agendaを見る →
そのため、
- 学校や大学で次に導入する技術を探したい。
- 海外ではAIをどこまで教育現場へ入れているのか知りたい。
- EdTech製品をまとめて比較したい。
という場合には、かなり目的が明確なイベントです。言い換えるなら、Bettでは「教育テクノロジーで何ができるようになったか」を見やすいと言えます。
ISTELive|テクノロジーを「授業にどう使うか」を見る
ISTELiveは、教育者を中心とした国際的な教育カンファレンスです。2027年は6月27〜30日にボストンで開催されます。2026年にISTEとASCDの統合組織は「International Society for Transforming Education」となり、年次大会は引き続きISTELiveとして開催されます。 ISTELive 27公式を見る →
参加者には、教員だけでなく、学校管理職、テクノロジー担当者、カリキュラム開発者、図書館・メディア担当など、教育現場のさまざまな役割の人が含まれます。
ISTELiveの特徴がよく表れているのが、セッション形式です。
MODEL LESSON EXPERIENCE
登壇者が教師役となり、参加者自身が生徒の立場で授業を体験する形式です。テクノロジーについて説明を聞くだけではなく、実際の授業へどう組み込み、どんな学習体験を設計するのかまで扱います。
そのため、
- 生成AIを授業のどこで使うのか。
- 教師は何を担うのか。
- 学習者の体験をどう変えるのか。
といった、教育現場に近いテーマを持つ人には向いています。
Bettが「どんなEdTechがあるか」を広く見る場所だとすれば、ISTELiveは「それを使って、どう教え、どう学ぶか」をより深く見る場所、と考えると違いが分かりやすくなります。 セッション形式を見る →
ASU+GSV Summit|教育を「巨大な産業」として見る
ASU+GSV Summitは米国サンディエゴで開催される、教育とWorkforce領域の大規模なカンファレンスです。2027年は4月4〜7日に開催予定です。 ASU+GSV公式を見る →
公式は教育・スキル領域を8兆ドル規模のセクターとして捉えており、2027年には7,000人以上のリーダー、800人以上の登壇者、500を超えるセッション、ラウンドテーブル、ラボなどを予定しています。参加者には、教育者だけでなく、起業家、投資家、大学、企業の人材・学習担当、政策関係者などが含まれます。
つまりASU+GSVでは、教育を「学校の中」だけで見るわけではありません。
- EdTechスタートアップ
- 大学
- 企業研修
- リスキリング
- 人材市場
- 投資
- AI
こうしたものを、LearningとWorkの大きな市場として見ることができます。
教師の授業実践を中心に見るISTELiveとは、かなり視点が違います。ASU+GSVでは、「教育がどんな産業へ変わっていくのか」が見えやすいのです。
SXSW EDU|「教育とは何か」そのものを広げて見る
SXSW EDUは米国テキサス州オースティンで開催される教育のConference & Festivalです。2027年は3月13〜16日の4日間。公式には1,000人以上のスピーカー、300以上のセッションやワークショップ、120以上のネットワーキング機会、50以上のインタラクティブ展示、2つのライブピッチコンペが予定されています。 SXSW EDU Programを見る →
SXSW EDUもEdTechを扱います。しかし、プログラムを見ると、それだけではありません。
2027年の12トラックには、Teaching & LearningやStartups & Investmentに加えて、Arts & Culture、Community Initiatives、Work Reimaginedなどがあります。Arts & Cultureでは、舞台芸術、ビジュアルアート、ゲーム、メディア制作、ストーリーテリング、ワールドビルディングまで「学び」の文脈で扱われています。 12 Tracksを見る →
さらに、SXSW EDUにはセッションや展示だけでなく、映画上映やパフォーマンス、コンペティションなどもあります。
LOOK BEYOND EDTECH
AIがある時代に、人間が人間から学ぶ意味は何か。
ゲームや物語は、学習環境になり得るのか。
学校以外の場所を、私たちはどこまで教育と呼ぶのか。
というところまで、教育の範囲自体を広げて見ることができます。
SXSW JAPAN’S NOTE
AIの展示を探しに行ったのに、「人と学ぶこと」が気になった
2026年のSXSW EDUで私たちが見たものの中に、AIそのものとは直接関係のない二つの体験がありました。
一つは、学校を舞台に生徒たちの葛藤を描いた新作ミュージカル「Schooled」。もう一つは、教師がストーリーテラーとなり、子どもたちとDungeons & Dragonsを使って授業を進めるデモンストレーションです。
どちらも、最新のAI教材を見せるものではありませんでした。
むしろ印象に残ったのは、他者の葛藤へ共感すること、物語の中で判断すること、教師や仲間とのやり取りを通して学ぶことでした。
AIがどこまで教育を効率化できるかという議論が増えている同じ場所で、「では、人と人が一緒に学ぶ時間には何が残るのか」という試行錯誤も起きていました。
SXSW EDUを見ていると、技術の進化と同時に、その技術では置き換えにくいものも見えてくることがあります。
結局、どの教育カンファレンスへ行けばいい?
選び方は、「教育の未来」という大きなテーマから考えるより、自分が何を知りたいのかまで具体化すると分かりやすくなります。
Bett|新しいEdTech製品や導入事例を大量に見たい
ISTELive|教師や授業の実践から、テクノロジーの使い方を考えたい
ASU+GSV|教育をスタートアップ、投資、人材、スキル市場まで含めた産業として見たい
SXSW EDU|文化、アート、コミュニティ、働き方まで横断し、「これから何を学びと呼ぶのか」まで考えたい
どれか一つが優れているわけではありません。見たい未来の場所が違います。
「AI教育の最新事例を見る」だけなら、どこでもいいかもしれない
今では、どの教育カンファレンスへ行ってもAIは大きなテーマになっています。
だから、「AIの教育活用事例を見たい」だけでは、視察先を決めにくくなっています。
もう一歩考えて、
- AI製品を探したいのか。
- AIを使った授業を見たいのか。
- AI教育ビジネスの市場を見たいのか。
- AIが普及したあと、人間の教育自体がどう変わるのか考えたいのか。
まで分ける。そうすると、同じ「AI×教育」でも、行くべきイベントは変わってきます。
教育スタートアップなら、「見る」だけでなく挑戦することもできる
SXSW EDUには、教育系スタートアップを対象としたLaunch Startup Competitionがあります。
2027年のLaunchはアーリーステージの教育スタートアップを対象とし、選出企業は教育者、投資家、起業家などの前でライブピッチを行います。応募最終締切は2026年11月1日です。
ファイナリストにはSXSW EDUの参加資格に加え、Startup Bootcamp、コーチングやメンタリング、Launch Spotlightなどの機会が提供されます。 Launchの応募条件を見る →
高校生を対象にしたStudent Impact Challengeもあります。13歳以上の現役高校生で、アイデア段階を超えて実際に開発・活動しているプロジェクトが対象となり、米国外からも応募できます。2027年の応募締切は10月25日です。
教育の未来を「見に行く」だけでなく、自分たちが考えている教育の未来を世界へ持っていくという参加方法もあります。
日本からSXSW EDUのコンペへ挑戦する方へ
2027年は、SXSW JapanとZIPAIRが、日本からSXSWの公式コンペへ挑戦する参加者を支援しています。
SXSW EDUのLaunch Startup CompetitionとStudent Impact Challengeも対象です。
SXSW 2027 × ZIPAIR
対象コンペのファイナリストへ、成田=ヒューストン往復航空券2名分を提供
- SXSW EDU Launch Startup Competition
- SXSW EDU Student Impact Challenge
- SXSW Pitch
SXSW EDUへ参加してみたい方へ
ピッチコンテストへ応募する人だけでなく、教員、学校・大学関係者、教育行政、企業、研究者など、さまざまな立場からSXSW EDUへ参加できます。
2027年のSXSW EDUは3月13〜16日にオースティンで開催され、3月15〜16日には一部のSXSW 2027プログラムにもアクセスできるCrossover Daysが設定されています。
「海外の教育カンファレンスへ初めて行ってみたい」「SXSW EDUでは、自分のテーマなら何を見るといいのか知りたい」という場合は、SXSW Japanの日本語情報もご覧ください。
PLAN YOUR SXSW EDU
SXSW EDU 2027|日本語概要・参加情報
SXSW EDUの特徴、プログラム、参加対象などをSXSW Japan公式サイトで紹介しています。
参考・公式情報
文:SXSW Japan
開催日程、プログラム、応募条件などは2026年9月時点の各主催者公式情報をもとに構成しています。参加・応募時には最新の公式情報をご確認ください。



